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【ランキング12位達成】 累計55万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

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474/1363

プロローグ 471歳の誕生日

「……ふーん、471か」


アル=アイゼンハワードは、静かに紅茶をすすった。

血のように赤い冥界式ダージリン。高級品だ。だが、彼の表情はまるでカビた食パン。


蝋燭271本を盛ったケーキが燃え尽き、残り200本が小型火山のようにボーボー燃えているのを横目に、アルはぼそりと呟く。


「470も471も、そう変わらんだろう」


その言葉に、部屋の隅でプレゼントの山を積み上げていた幸子とさっちゃん(ベビーサタン)がピクッと反応した。


「はいはい、また出た冷血コメント」


「アル様~!もっと盛り上がってくださいよ!471って語呂も良くないですか!?“よーなーいー!”って!」


「何が“よーなーいー”だ……語呂が悪すぎる」


「ちぇ~……でも、でも!」

さっちゃんは魔界エナジードリンクを一気飲みしてから、パッと両手を広げた。


「思い出してくださいよアル様!あの年のことを!1年で100億金貨稼いだ、あの最高の一年を!!」


アルはティーカップを置いた。


「……あれか。地獄の年度末決算フェスか?」


「ちがいますって!もう!

 さっちゃんとアル様で会社作って、いろんな経営に手を出して、気づいたら魔界アカデミー賞まで獲っちゃった、あの神のような年ですよ!」


「なにそれ、さっちゃん。面白そうな話ね」

幸子が目を細めて微笑んだ。


「でしょ!?私は表の経営でお金集めて、アル様は裏の交渉で闇金潰して……もう最強コンビ!あの年だけで私たち、13ケタ稼いだんですから!」


「……あの頃の俺はまだ若かった。たしか271歳だったな」

アルが小さく目を閉じる。


「え、それで“若い”の!?」


「それ魔界基準!」


さっちゃんが爆笑し、幸子は懐かしげに遠くを見る。


「そして、物語は始まったのよ。

 大不況の冥界で、たった二人の無名チームが、伝説になるまでの一年が」


そうして、アルは少しだけ笑った。

ほんの一瞬、若かりし日の狂騒と熱気が、彼の目の奥に灯った。


「まったく……あの頃は、うるさい奴らばかりだった」


「でも面白かったでしょ?」


「……まあな」


これは、死者が働き、悪魔が投資し、サタンが起業する世界で。

たった一年で100億金貨をかき集め、地獄と天界の経済を揺るがせた、

とある無茶で笑えて、ちょっと泣ける魔界ベンチャー物語である。


過去編 はじまり はじまり~

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