第4話 星の塔
空高く、雲を突き抜けるかのように聳え立つ星の塔。その姿は、まるで天と地を繋ぐ神秘の架け橋のようだ。螺旋階段が塔の外側に沿って美しく巻かれ、頂上へと続いている。
星の塔の前で、反逆の逆の戦士バルドルが叫んだ。
「俺!高所恐怖症だから昇るの無理!だあぁあ!」
彼の声が、霧と海の轟音にかき消されそうになるが、しっかりと響いた。
「お前はいつ活躍するんだ……」と、俺は内心呟いた。
しかし、状況はこれからどうにかなると、心のどこかで期待もしていた。
その時、黒魔術師のマーリンが、面倒くさそうな顔でゆっくりと歩いてくる。
彼は、まるでこの塔すらも壊してしまえば面倒な宝が手に入るかのような、無頓着な様子だ。
「こんな塔、ぶっ壊してしまえばよくて……」
と、マーリンが低く呟いた途端、空中に浮かぶようにして彼は歩み寄り、杖を振るい始める。
マーリンの声が低く、しかし威厳を漂わせながら宣言する。
「――聞け、天空の星たちよ。
我が言葉をもって星を導け、
星辰の王よ、凍てつく海に眠る業火よ、
我が杖に応えよ!」
そのとき、上の階から、鋭い注意の声が響く。
「《メテオクラッシュ・・・・
「こらああああ!塔を壊そうとするなぁ!大事な星の羅針盤が壊れるぞ!」
どうやら、最上階に堕天使アザリエルが待機しているらしい。
アザリエルは堅苦しく、細かい性格で、命令口調で注意を促す。
「ちっくそがぁ」と、マーリン!
アザリエルの声にマーリンが舌打ちしながら、しぶしぶ浮遊で塔を飛んで昇ろうとする。
「1段ずつ、確実に塔を昇らないと、宝は渡さんぞ!」
アザリエルが注意する。
「めんどっくさ!」とマーリンが答えた。
その一方で、塔の入り口では、勇者アルベルト率いるパーティーが待機していた。
「行くぞ、みんな!」
アルベルトが剣を掲げ、覚悟を決めた表情で前を向く。
塔の入り口前には、異形のモンスターたちが待ち受けている。
巨大な牛と人間のモンスター、ミノタウルス。そして、巨大な馬と人間のモンスター、ブーケバロスが互いに唸りながら、不気味に並んでいる。
「これは、もうボス級の敵だな…」
アルベルトが剣を抜き、その眼差しは集中力を増している。
そのとたん、グレイス・オマリーが先んじて走り出し、ブーケバロスに向かって突進する。
「あたしが先にお宝をもらうよ!」
グレイスの声は、荒々しくもどこか笑いを交えて挑発的だ。
「ぬけがけは許さない!宝はわたしのものよ!」
と、マーリンも追い打ちをかけるかのようにミノタウルスへ向かい、冷笑を浮かべながら叫ぶ。
俺は、横でその様子を見つめる。似た者同士なんて醜い争いだ……互いに自己主張を繰り広げる中、星の塔にあるであろう宝が、かすかに胸を高鳴らせる。
「さあ、皆、覚悟を決めろ!」
勇者アルベルトが再び叫ぶと、塔の入り口から不気味な音とともに、戦いが激しく始まった。
星の塔の前で、勇者たちとモンスターたちとの死闘が、今まさに幕を開けようとしていた。




