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第3話 海上の都市

海の上に浮かぶ魔法都市アクアマリン。


挿絵(By みてみん)


青く輝く海面に、無数の貿易船が漂い、空中には貨物を吊るした飛行船が行き交っていた。


「すごいなぁ……大都市じゃないか。船の上に、都市があるなんて……」

俺、リスクは村長モードでアクアマリンの視察中だった。

村人に戻ったり村長になったりするのが最近のマイブームだ。

(まったく最近の若い者はブツブツブツ)じじいは呟く。


まずは物資の補給だ。

水、食料、それから……勇者たちのために新しい武器も揃えたい。


「シスターマリア、俺の商人スキルを見せてくれないか」


「はい。ええっと……こちらになります」


―――――――――

リスク(村長) 商人スキル

・ほめちぎりテクニック

・買いたたきテクニック

・かます

・市場分析能力

―――――――――


「ふふっ、リスクさんが、これをうまく使えばお得に買い物できますね」

シスターマリアが微笑む。

物資補給係として、俺はお得に買い物をしなければならないのだ。


食料屋にて

「いらっしゃーい!旅の方かい?乾燥肉と水なら今ならセットで割引中だよ!」


「へえ〜!この肉、すごくジューシーで、見るからに栄養満点ですね!香りも良いし、切り口の赤みがまるで芸術だ!」


「お、おぉ……あんた、見る目あるねぇ……そうだね、特別にもう少しオマケしようか!」


〔スキル:ほめちぎりテクニック 発動〕


「ところで、このセット、10ゴールドはちょっとお高いんじゃないかな?他の都市では7ゴールドで似たものが……」


「うっ……うーん、そ、そうかい……じゃあ今回は7でいいよ……あんた、うまいな……」


〔スキル:買いたたきテクニック 発動〕


「助かります!お得にお肉ゲットだぜ。」


武器屋にて

「よう、旅の者か。魔法防具を探してるのか?」


「はい。強力な魔法攻撃に備えて、魔法の鎧と盾、それから具足と兜を。」


「おおっと……全部揃えるってのは大きな買い物だな。まとめて買うなら……考えなくもないぜ?」


「それにしても、素晴らしい造形ですね……この鎧の曲線美!あたかも職人の魂が形になったような……!」


「う、うほほ……そこまで言われちゃあなぁ、悪い気はしねえ……」


〔スキル:ほめちぎりテクニック+市場分析能力 発動中〕


「この型、去年の秋に出たシリーズですね?在庫が余ってるって情報が図書館にあったんですよね……」


「なっ!?し、仕入れ情報まで把握してやがる……くぅぅ、わかったよ!セット価格からさらに1割引だ!」


「ありがとうございます!お得に装備をゲットだぜ。」


宿屋にて

「おお〜!いらっしゃい!部屋は休憩用?それとも泊まり?」


「今日は買い物が多くて疲れたんで、ちょっと休ませてもらおうかと。ところで……この毛布、ふわっふわですね。まるで雲の上に寝てるみたい……」


「おっほっほ!それはリス毛を使った高級品だよぉ〜!ちょっとお高いけど……あんた、目利きだねぇ」


「……とはいえ、長期戦の準備にお金がかかるから、今日だけ安くならないかな?」


「……ぐぬぬ、しゃーない!あんた、次も泊まってくれるって約束してくれたら割り引くよ!」


〔かます+ほめちぎりテクニック 発動〕


「もちろん、アクアマリンの宿といえば、ここしかないですよ」


「おだてが上手いねぇ〜!」


こうして俺たちは準備を完了した。


勇者の装備はすべて、魔法の鎧シリーズで統一され、魔法防御が20%アップ。

次の戦い、「星の塔」に備える。


「次のボスは堕天使アザリエル。空を飛行し、あらゆる黒魔術を操る、恐るべき敵だ。」

と元魔王軍の反逆の逆の戦士バルドルがベラベラ重要な情報をしゃべった。



魔法図書館にて


薄暗い螺旋階段を上り抜けると、そこには古代から伝わる魔法の知識が眠る「魔法図書館」が広がっていた。館内は、無数の古文書や魔導書が所狭しと並び、埃とともに静かに時の流れを刻んでいる。


館内の壁は、かつて繁栄した魔法文明の遺物で覆われ、錆びた金具や刻まれた魔法陣が、かすかな青白い光を放っていた。木製の棚は重厚感に満ち、古びた革表紙の書物や、微妙に輝く魔法結晶が詰まった巻物が、まるで生き物のように、微細な輝きを放っていた。


天井は高く、巨大なステンドグラスの窓が無数の神話や伝説を描き出している。光が差し込むたび、館内は一瞬にして幻想的な世界へと変貌し、魔法の言葉が空中に浮かび上がるかのような錯覚すら覚える。


図書館の奥深く、埃まみれの古文書をめくると、ある記録が目に留まった。


《厄災の人魚マーリン》海軍戦艦10隻を沈めし黒魔術の使い手


「えっ……これって……」


後ろから聞き慣れた声がした。


「たまたま名前が一緒なだけですわぁ〜」


「200年前って、私はいくつになってしまうのかしら〜。あはははっ」


薄暗い魔法図書館で赤く妖しく光る、マーリンの左右の瞳。


「お前、魔族だろ……!」

俺は心の中で呟いた。が、言葉にはしなかった。


まだその時ではない……。


いよいよ星の塔の座標が示された星の塔へ。


「さあ、出航だ!」


物資補給を終え波の上に浮かぶアクアマリンを背に、勇者たちは次なる戦場へ向けて旅立った。

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