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【ランキング12位達成】 累計53万7千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの過去編 ―魔界の貴族編』

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第11話 黙示の神殿 ―聖滅のトリニティ

黒き虚空の中心、神敵ヴェイラスが浮かぶ。

その背に掲げた「金の日輪」からは、万象を塗り替える“アカシックの光”が放たれ、現実さえも書き換えようとしていた。


「この世界に“正しさ”など存在しない……。あるのは、選ばれた神の意思のみだ」


全能の意志を掲げ、ヴェイラスが天より光を降ろす。


天頂に煌めく金の日輪が、音もなく震えた。


「……さあ、全ての記憶を“真っ白に書き換え”よう」


挿絵(By みてみん)


ヴェイラスの声は静かだった。しかしその声が放つ波動は、空間そのものをゆがめる。日輪から漏れた光が、文字のような形をとって無数に空中を流れ出すそれは、世界の“意味”を構成する記憶改変の光アカシック・コードそのもの。


次の瞬間、その光はアイゼンハワードとリディアとユナを包み込んだ。

だが人は、選び、抗い、手を取り合う。


「リディア!ユナ!行くぞ!」

アイゼンハワードが叫ぶ。魔剣ギロティーナが深紅の煌めきを放ち、信念と真実の象徴として握られる。


ユナが前へ出る。背から広がる“白炎の翼”が、神敵の聖なる光すら焼き払う。


「アイゼン、わたしの炎で道を拓くよ!世界に“あたしたちの意志”を刻むんだ!」


《煌陽焔陣:レグルス・インフェルノ》


ユナの放つ白き大炎は、ヴェイラスの金の光を呑み込み、世界を“選べる場所”へと戻していく。


「風よ……応えて」

リディアが風精霊と交信し、両手を掲げる。


《螺旋神風:スパイラル・ゲイル・カンタービレ》


風が唸り、聖域の空間を貫く。それは敵の視界・聴覚・予測すら攪乱し、ユナの焔と共に“光の改竄”をかき消す風の楽章。


そして、アイゼンハワード。

「偽りを斬り裂く、それが俺の剣だ」


魔剣ギロティーナが光を裂く。

“改変された信念”を、その一閃で打ち破る。


《真実裂剣:アトンメント・セイバー》


ヴェイラスの金の日輪を貫いた。

刹那、神敵の眼に「初めての恐れ」が宿る。


挿絵(By みてみん)


「なぜ……人間が、“神”を拒絶する……?」


「神じゃねえ、人が今を選ぶんだよ。未来もな」


三つの意志が一つとなる。

《聖滅連撃:トリニティ・オーバードライブ》


ユナの焔が空を裂く。


リディアの風が光を抉る。


アイゼンハワードの剣が神敵を穿つ。


─閃光。

世界が塗り替えられた瞬間、

金の日輪が砕け散った。


ヴェイラスはゆっくりと崩れ落ち、光の粒となって虚空に還る。


沈黙のあと、蒼穹に陽が差す。

ユナが微笑んだ。


「ねえ……アイゼン、次は“何を選ぶ”?」


アイゼンハワードは剣を鞘に収め、二人を見渡す。


「俺たちの未来だ。……三人でな」


リーディアの風が、優しく三人を包み込んだ。


終幕。



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