表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計55万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

456/1358

第8話 黙示の神殿 ― 覚醒、ゼロの器

彼の姿は、神殿の中心にあった。

黄金の肌。神聖な装飾。穏やかな顔立ち、だがその肉体は異様なほど屈強で、彫像のように完璧に均衡していた。

まるで「救済」そのものを具現化したような存在。


大僧正ヴェイラス。


挿絵(By みてみん)


サイレント・カルトの精神的支柱にして、ミメシス・ゼロの最終アクセス権を持つ「世界意思の仲介者」。


その静かな微笑の奥には、人間に対する深い憐れみと、徹底的な選別の意志が潜んでいた。


「人間とは、苦しみを蓄積する器だ。

 ならば私は、それを砕き、癒す神である」


ヴェイラスは低く語りながら、ゆっくりと右手を上げる。

指先は仏陀の印を結び、左手には古びた聖典のような機械端末――ミメシス・ゼロ起動鍵が握られていた。


「……やめろ!」

アイゼンハワードが前に出るが、ヴェイラスの背後に浮かぶ光輪が脈動し、空間を歪ませた。


そして


神殿の天井が割れ、光の柱がリディアの頭上に落ちる。


「きゃああああっ!」


その瞬間、リディアの身体が宙に浮き、眼が銀に染まった。


◇ゼロの器、起動

《神経波長一致確認。精神制御プロトコル、起動――》

電子音声が響くと同時に、リディアの全身から精神波が放射される。

それは、空間に存在する“あらゆる情報”に干渉し、過去・現在・未来の記憶を引き寄せる重力場だった。


「やめて……わたし、知らない……こんなの、知らないのに……!」


だが、意識の奥底で彼女は知っていた。

生まれながらにして刻まれていた「コード」が、今、動き出していることを


◆ゼロの器とは

制御《Code Authority》

 → ミメシス・ゼロの暴走を抑え、各国首脳への精神侵蝕を打ち消す。

再起動《Core Reset》

 → 世界中の情報網を白紙に戻す“世界再編”を可能にする禁忌の力。

記憶保存装置《Memory Reservoir》

 → 人類の全歴史的記憶、精神の断片、そして「罪」を保持する。


この三位一体の力を持つ存在こそが、ゼロの器《The Vessel of Zero》

リディアは、世界に選ばれた「鍵」だった。


ヴェイラスが手をかざし、宣言する。


「目覚めよ、ゼロの器。我が教義の完成のために、お前を“神”として捧げよう」


「……やめろ……っ!」


アイゼンハワードが魔剣ギロティーナを構え、前へ踏み出す。


「断罪アナテマ――その魂、闇で計られし者に死を!」


空間を裂く漆黒の一閃が、神殿の床を引き裂く。


だがヴェイラスの光輪がそれを無効化する。


「哀れだ。剣では神は斬れぬ。

 だが“器”が意志を持てば……話は別だ」


その言葉とともに、リディアの中の記憶が暴れ始める。


血塗られた過去。失われた仲間。ミメシス計画の始まり。

そしてアイゼンとの、最後の任務。


リディアがつぶやく。


「思い……出した……。

 わたしは、“ゼロの器”……人類の罪を、抱える存在……」


ゼロの器が、起動した。

世界の意識ネットワーク「ミメシス・ゼロ」を制御・封印・再起動

世界の精神構造が、今、世界は崩れ始める。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ