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【ランキング12位達成】 累計55万1千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

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第5話 記憶を取り戻す者たち

白い光が、永遠に続いていた。


リディアは意識の淵をさまよっていた。

まばゆい光と冷たい沈黙に包まれたこの空間――サイレント・カルトが造り上げた「光の監獄」は、単なる牢ではない。精神そのものを揺さぶり、分解し、再構築する“再信仰リフォルマ”のための祭壇だった。


彼女はそこで、奇妙な夢を見ていた。

それは記憶だった。いや、記憶の欠片。


焼けた大地、赤黒い空、響く銃声。

その中心に立つ若きアイゼンハワード。

そして自分は彼の隣にいた。

背中合わせで、死と戦っていた。


「……違う……わたしは、あなたを……」


だが、その想起は途切れ、白い光がすべてをかき消していく。


一方、バチカン地下、封印された書庫。

MI6の諜報員を経て仲間となった古文書解読者ユリウスは、一冊の禁書を手に取っていた。


《レヴナント・コード》。

存在すら抹消された魔術文明の最終遺産。

そのページに刻まれていたのは、「ゼロの器」リディアと、「黒の誓約者」アイゼンハワードの名そして、かつて交わされた“最後の任務”の記録。


「もし“ミメシス・ゼロ”が暴走すれば、器を殺し、コードを断て」


その条文が意味するのは、リディアがこの兵器の起動装置であり、暴走時には彼女を処分せねばならぬという絶対命令だった。


光の監獄にて。


リディアの意識の奥底で、アイゼンとの過去が少しずつ繋がっていく。

彼とともにいた幼少期、任務のため訓練を受けた秘密施設、そして最終任務での別れ


「わたしは、あのとき、あなたを……撃てなかった」


ぽつりと漏れたその言葉に、監獄に共鳴するコードが震えた。


光の牢獄の片隅に記録されていた、彼女自身の意識断片が起動を始める。

過去の彼女が記した、最後の「選択」の記録。


そして、記憶の扉がゆっくりと開き始めた。


「アイゼン……わたしは、あなたに……」


囁く声。崩れ始める監獄。

だがその瞬間、頭上に現れる影。


ローブを纏った者が言った。


「ゼロの器は目覚めた。今度こそ、約束は果たされる」


その声にリディアは、言い知れぬ戦慄を感じた。


記憶は一時的に戻った。だが、これは救いなのか、それとも……。

そしてその時、彼女の背に再び“ゼロの紋章”が浮かび上がる。

それは、精神兵器ミメシス・ゼロの最終起動を示す印だった。



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