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【ランキング12位達成】 累計54万2千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

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第14話 不夜城の門を破れ(下)

「もっと……ふふ。いいわ。ここからが本番よ」


九尾が妖艶に微笑むと、その身体の周囲に浮かぶ九本の尾が、禍々しい黒き炎に包まれて膨張する。


「九つの尾、開放――《黒耀の契約:外法九紋》!」


ズオオオオン……ッ!


不夜城全体を覆うように、深淵から突き上がるような闇の波動が天を貫いた。空は血のように染まり、城壁に張り巡らされた魔紋が異様な輝きを放つ。九尾の力が完全に解放されたのだ。


「ぐっ……このプレッシャー……ッ!」

アイリス大山が重装甲ごと膝を突く。

「装甲が……圧で軋んでる……ッ!」


「トランスジェンダーっ、回復をッ!」

アイゼンハワードが叫ぶ。


「了解っ☆ でも回復よりも抱きしめたほうが効くって信じてる♡」

筋肉モリモリのトランスジェンダーが、力強く拳を掲げ、神々しいオーラを放つ。


「《セラフィム・ブレッシング!》」


癒しの光が広がるが、直後――


「ギィィィイ……!」


地を割るような咆哮。

《饕餮トウテツ》が真の姿をさらし、巨大な顎を開けて魔力そのものを喰らう波動を放つ。


「魔力飢餓波《黒渦の断絶》ッ!」


「ぐあああああっ!!」

トランスジェンダーの癒しの光がかき消され、仲間たちの体力がどんどん吸い取られていく。


「アイリス大山!後退を――ッ!」

「だが……私は砲撃の要……!まだ沈むわけには……っ!」

彼女のバスターキャノンが、九尾の尾の一本に命中するも、黒い靄にかき消されてしまう。


その時、ギガ・ノクターンが闇の中から再起する。


「……我、旋律にして終焉……《冥奏・アポカリプス・ラメント》……!」


音が……聞こえない。

否、音そのものが奪われた。世界が沈黙する――音波による脳の攪乱攻撃が全員を襲う。


「うあああああっ……!!」

トランスジェンダーが耳を塞ぎ、アイリスがよろける。


「皆、下がれ!」

ダイマオウが一歩、前に出た。


「ここを突破しなけりゃ、未来なんて来ねぇんだよッ!」


その拳が、闇を裂く。


「格闘奥義――《修羅無双:連嵐百破拳》!!」


轟ッ!!


目にも止まらぬ速度の拳撃が、九尾に向けて叩き込まれる。尾が弾かれ、黒い靄が裂ける!


「貴様……!」

九尾が叫び、ギガ・ノクターンと饕餮が援護に入る――


その瞬間、闇を裂く紅の閃光が走った。


「終わらせる……魔剣ギロティーナ、今こそ断罪を」


アイゼンハワードが跳ぶ。瞳は燃え、魔剣が霊魂の悲鳴をあげるように輝く。


「必殺《アナテマ・ディアボリカ:断罪連牙突》!!」


シュバアアアッ!!


剣の一突きが、九尾の胴を貫き


次の瞬間、連なるように影のごとく幻影斬撃が九つの尾を切り裂いていく。


「な……馬鹿な……こんな……!」


九尾の身体が崩れ落ち、ギガ・ノクターンと饕餮トウテツも、断罪の光に飲まれるように倒れ伏した。


静寂が訪れる。

崩れ落ちる黒き魔力の渦


ダイマオウが拳を握りしめ、言う。


「これが……俺たちの、道だ」


不夜城の門が、音を立てて崩れ落ちる。

英雄たちは、血に塗れながらも、ついに突破口を切り開いたのだった。

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