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【ランキング12位達成】 累計52万6千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの過去編 ―魔界の貴族編』

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第13話 不夜城の門を破れ(中)

不夜城の門前。

魔獣たちとの死闘は、ますます熱を帯びていた。

暗黒の空に咆哮がこだまし、城壁を覆う紅蓮の光が、戦場を妖しく照らす。


「くそっ……あの九尾、心の奥まで引きずり込もうってのか……!」


ダイマオウの額には滝のような汗。

目をぎらつかせ、異様な静けさを保つ九尾が空中にふわりと浮かぶ。


「あなたたち、気づいていないのね……

 自分の中の“罪”が、最もあなたを蝕むのよ」


九尾の九つの尾が広がると同時に、《ギガ・ノクターン》の地鳴りのような轟音が鳴り響いた。

さらに空間が黒く歪み、《饕餮トウテツ》の魔力飢餓波が解き放たれる。


「ぐっ……チッ! 俺たちの力が……飲み込まれて……!」

アイゼンハワードの放つ魔弾すら、闇に呑まれて消えていく。


アイリス・オオオヤマが叫んだ。


「このままじゃ、回復も強化も無意味よ! “魔力”そのものが吸い尽くされてる!」


そのとき、ダイマオウが一歩前へ踏み出す。


「なら、まずは“目”を潰すしかねえな。精神操作を仕掛けてくるその尾、断ち切ってやるよ!」


「奴らの連携を断ち切る!」

アイゼンハワードが叫び、魔剣ギロティーナを振り上げる。


「断罪の刻は、いま。」

アイゼンハワードが魔剣ギロティーナを引き抜いた。

紅黒に染まる剣が、禍々しくも荘厳に輝く。


「魔剣よ斬り伏せよ。」


魔剣が地を裂く。風が鳴き、剣閃が《ギガ・ノクターン》の死の旋律を打ち破り、饕餮トウテツの巨躯を包んでいた魔力の楯が破られる。


「ギガ・ノクターンの旋律が……乱れた?」

「ぬうっ、我の飢餓波が……断たれただと……!?」


「いまだッ!アイリス!!」

アイゼンが叫ぶ。


「了解ッ!」


アイリス大山。全身超重装甲、両腕には列車砲をも凌ぐ多連装砲。

その一撃は、岩をも貫き、大地をも抉る。


「推して参る!!」

「超重・轟雷砲――《メガトン・クリーガー》ッ!!」


バゴォォォンッッ!!!


咆哮のような砲声。

魔剣が放つ断罪の波動が、虚空を裂いて走る。

直撃を受けたギガ・ノクターンは音の鎧を乱され、《饕餮トウテツ》の魔力波との協調が崩れる。

轟音の交差点で起きた一瞬の“ズレ”が、戦況を動かした。


「いまだ、叩き込め!!」


ダイマオウが地を蹴る。

格闘の雄、任侠と破壊の王。

漆黒の拳に怒気を宿し、風を裂く跳躍とともに九尾へと迫る。


「俺の拳で、貴様の操り糸、断ち切ってやるッ!!」


九尾は口元を妖しく歪めた。

「愚かね……精神の深層を覗いたことがある?」


瞳が輝き、再び精神波を発する――が、もう遅い。

ダイマオウの拳が、幻を砕いて彼女の防御を突き破る。


破邪覇道拳ジャスティス・ブレイカーッ!!」


九尾の体が一瞬震え、脳裏に刻まれた操りの術式が弾け飛ぶ。

精神操作の支配が、周囲から一気に解かれていく。


「……な、なぜ……わたくしの精神の結界が……!」


ダイマオウがにやりと笑う。

「筋肉が心を守るんだよ。テメェの薄汚い幻術なんざ通じねえ!」


その瞬間、背後から轟音。

アイリス大山の大砲が火を吹いた。


「この流れ、逃さないわよ……っ! 一斉掃射ハイインパクト・バースト!」


彼女の豪腕が駆動し、超重装甲を揺らして大砲の連続砲撃を叩き込む。

ギガ・ノクターンと《饕餮トウテツ》が防御を試みるも、連携が断たれた今、対応しきれない!


「癒しの天使が・サポートモード、起動♡」

癒しと筋肉の天使が、背後で仲間たちを回復し、強化を重ねる。

「みんな、私のマッスル・ラブを受け取ってくれ♡」


一気に立て直される戦線。

崩れる敵の布陣


だが、九尾はまだ膝をつかない。

その瞳に残るは、なおも深き闇と策略。


「……ふふ。いいわ。ここからが本番よ。九つの尾、開放《黒耀の契約:外法九紋》!」


闇が再びうねり、不夜城全体を巻き込む次のフェーズへと突入していく……。


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