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【ランキング12位達成】 累計55万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

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第11話 魔王領エリアGの不夜城の門が開かれる

視界が開けた瞬間、一行は言葉を失った。

濃紫の夜に包まれた空間。黒く焼け焦げた大地には、かつての文明の残骸が朽ち果てており、奇妙な文様が蠢くように刻まれている。空には、月ではない、血のように赤い球体が浮かび、あたり一帯を不気味な赤黒い光で照らしていた。


その中央にそびえ立っていたのが


不夜城ふやじょう


挿絵(By みてみん)


妖艶で、どこか人を惹きつける美しさと、近づけば命を奪われるような圧倒的な邪気を放つ城。その外壁は濡れたように光る漆黒の鉱石でできており、触れれば魂を喰われると伝えられる“夜晶石”によって覆われていた。

塔は螺旋状に天を穿ち、先端には常に黒い雷が踊っている。城門は無数の目玉でできており、誰が来ようとも睨み返し、侵入者の心を試すように見下ろしてくる。


風は吹かないのに、空間全体が微かに震え、呻くような声が常に耳の奥を掻きむしる。まるでこの地そのものが生きており、一行の到来を喜び、同時に喰らわんと待ち構えているかのようだった。


「……ここが、“不夜城”……」


アイリス・オオオヤマが低く呟く。

ダイマオウは手にした鉄拳を握り直し、トランスジェンダーは背中の聖剣を静かに抜いた。そして、アイゼンハワードの赤いマントが音もなくはためいた。


「気をつけろ。ここは“魔王領エリアG”。やつらの本拠地だ」


その時、地鳴りが起こった。


不夜城の周囲を囲む三方の扉が同時に開き、封じられていた魔獣たちが姿を現した。


九尾のヨウコウ

挿絵(By みてみん)

血のように紅い毛並み、瞳は深い金色。その姿は艶やかで、男とも女ともつかぬ中性的な美貌を備えている。九本の尾はそれぞれ異なる属性魔法を操り、空間そのものを裂いて次元を変える。


だがその真の恐ろしさは、“精神操作”。

「私の声に、貴方の意志は耐えられるかしら?」


かつて王朝を滅ぼした伝説の妖狐。政治的混乱、権力の腐敗、国家の崩壊を象徴する災厄の化身。その妖艶な魅力と知略により、何千何万もの魂が堕ちていった。


魔王領に再臨した今、彼女の目的はただ一つ。

「すべての世界を、不夜の支配下に沈める」



百眼の巨人ギガ・ノクターン

挿絵(By みてみん)

全身に無数の眼球が埋め込まれた巨人。

一つの眼で未来を見通し、

一つの眼で過去を記録し、

一つの眼で嘘を暴く――


すべての眼が揃う時、その巨体は真紅に輝き、心臓を一瞬で止める“死の視線”を放つ。


「見るぞ……お前たちの死に様を、ありとあらゆる角度からな!」


饕餮トウテツ

挿絵(By みてみん)

そして最後に現れたのは、破滅そのもの。

牛か羊のような巨体に、曲がった黒角。虎の牙と人の顔を持ち、人の腕を持つ巨獣。その名は《饕餮トウテツ》。


古代神話において、財産も食物も、人も魂もすべてを貪る欲望の化身とされる。だがこのトウテツは、後代の伝承に従い「魔を喰らう」役割を得た。

つまり、魔力を持つ者たちにとって、彼は捕食者。


「ククク……うまそうな魔力が……ここに……いるな」


その全身から発せられる「魔力飢餓波」は、魔族や使い魔を狂わせ、呪文を封じ、さらには触れた者の魔力を根こそぎ喰らい尽くす。

まさに絶対的な“反魔性”。



迎え撃つ四人


トランスジェンダー(回復系マッチョ大天使)

挿絵(By みてみん)

極限まで鍛え上げた筋肉を誇り、癒しと破壊の二重性を体現する天使。

「女の情熱と男の力、今ここにぶつけてやるわッ!」

両手に抱えるのは《慈悲のハンマー》と《破壊のマラカス》。


アイリス・オオオヤマ(天才科学者の末裔)

挿絵(By みてみん)

冷静沈着な天才技師。バリアスーツと電磁スリングを駆使して戦場を制圧。

「解析完了。敵の弱点は、ここよ!」

背後から支援し、味方の装備をリアルタイムで強化する。


ダイマオウ(任侠と破壊の主役)

挿絵(By みてみん)

魔界の秩序を再構築する男気の塊。

「オレが守るのは、仲間と未来だけだ!」

黒煙の中を歩み出るその背に、誰もが希望を見る。


アイゼンハワード・ヴァル・デ・シュトラウス(通称:アルおじ)

挿絵(By みてみん)

赤い瞳にワインレッドのマント。貴族的なファッションを好む。

最近は白髪交じりや肌のカサつきを気にして保湿クリームを常備。

「貴様らの時代は、終わらせる!」

長年の経験を活かし、一瞬の隙すら逃さぬ。



不夜城の入口を覆うのは、三体の魔獣が吐き出した災厄の嵐。

死の視線、空間断裂、精神汚染、あらゆる禁忌が四人を迎え撃つ。



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