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【ランキング12位達成】 累計55万6千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

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第10話 転写研究所ボス戦

「ようこそ。我が“転写ウィルス研究所”へ」


黒光りする手術台の上で、九条イサムが不敵に笑った。白衣はすでに破れ、筋肉のように隆起した機械の骨格と、ドロリとした腐肉が融合した異形の姿。それはまさに“メカゾンビ”。


挿絵(By みてみん)


「私は、進化したのだよ。死を超え、肉体を超え、神にも等しい存在へと……!」


九条の手に握られていたのは、試験管のような注射器。液体は不気味な緑色に光っている。


「見せてやろう、最終形態……“メカゾンビ・オーバーライド・モード”!」


バシュッ!!


自らの首筋に注射を突き刺すと、九条の肉体が変貌を始めた。金属の装甲と腐敗した組織が爆発的に膨張し、体長は8メートルにも達する。


背中からはロケット砲、両腕にはチェーンソーブレード。そして腹部には、まだ生きているゾンビの顔がいくつも埋め込まれていた。


「ヒィイィィ!! 気持ち悪すぎィ!」

アイリス・オオオヤマが叫びながら火炎放射器を構える。


「行くぞ! 俺たちで終わらせるんだ、あの男を!!」

アイゼンハワードが叫び、魔剣を抜く。


「俺は拳で語るだけだァ!!」

ダイマオウが鉄拳を構え、地面を蹴った。


「……九条……お前はもう、誰も癒せない……」

トランス・ジェンダーが目を伏せ、ゆっくりと宙へ舞い上がる。


砲塔からのミサイルが降り注ぐ。

「着弾ッ! ウワアアアア!!」

ダイマオウが受け止め、装甲を砕いて突進。だが、チェーンソーブレードが唸りを上げて彼の腕に傷を刻む。


「任せろ! 消毒ターイム!!」

アイリスが炎を浴びせるが、九条の装甲には焼きが足りない。


「今だ、奴の腹部にウィルス培養核がある!」

アイゼンハワードが剣を構え、ダイマオウとともに突進する!


ドゴォォォォォン!!!


しかし、九条の咆哮と共に、死霊の風が吹き荒れ、二人を吹き飛ばす。


「いかん、回復する!!」


そこで


「眠れ、俺の胸で……地獄のゆりかご・ゾンビバージョン!!」


宙を舞うトランス・ジェンダーが、九条の巨大な肉体に強制抱擁を仕掛ける。


「やめろォォォォ!! 抱きしめるなァァァ!!」

九条が絶叫。だが、その瞬間、抱擁から放たれた癒しの波動が体内のゾンビ細胞と反発を起こし、内部から分解が始まる。


「今だアイリス! ワクチン砲を!!」


「発射ッ!!」

巨大な注射型砲台から、青白い光線が発射され、メカゾンビ九条の胸を撃ち抜いた!


「バカなあああああああああああああ!!」


九条イサムは悲鳴を上げながら、自らが守っていたウィルスの培養核ごと爆発。


研究室は崩壊寸前。四人はダッシュで奥の培養室に突入し、残された最後のウィルス液に火炎を放つ。


ジュゥウウウ……


「……終わった、のか……?」

アイゼンハワードが息を切らしながら呟く。


アイゼンハワードの剣が、ダイマオウの爆炎が、トランスジェンダーの愛の抱擁が、そしてアイリス・オオオヤマの科学の力が、ついにコロコロナーウィルスの培養液を焼き尽くした。


崩れ落ちるメカゾンビと化した九条イサムの骸。その目は、最期まで狂気に染まっていた。


「終わったか……?」

ダイマオウが肩で息をしながら問う。


だがその瞬間、研究室の壁際のコンソールに駆け寄っていたアイリスが叫んだ。


「まだ……終わりじゃない。やつの計画は複数の研究所で同時進行されている可能性がある」


彼女はキーボードを叩き、コンピュータ端末の画面に別のマップを映し出した。


闇に覆われた地図の中央。真紅の警告アイコンが、禍々しく点滅する。


「ここだ……“魔王領エリアG”……そこに、次のラストエンペラーがいる“不夜城”がある!!」


不夜城。かつて一夜にして魔界千年の繁栄を築いたという伝説の魔都。


その最奥には、自らを「ラストエンペラー」と名乗る者と、その側近にして妖艶なる亡国の美女・楊貴妃の影が待ち構えていた。


「この戦い……まだ、終われねぇってことか」

アイゼンハワードが重い剣を背負い直した。



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