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【ランキング12位達成】 累計52万6千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの過去編 ―魔界の貴族編』

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第9話 転写研究所突入

研究所・外縁部。


爆音と共に瓦礫が吹き飛ぶ。火炎放射器を構えたアイリス・オオオヤマが一歩前に出た。


「汚物は消毒だぁあああ!!! 消え去れ!」


その声と同時に、焼き尽くすような火炎がゾンビ兵たちを包みこむ。呻き声をあげながら灰と化していく元・魔族の兵士たち。だが、彼らの中には、かつて一緒に笑い、戦った仲間たちの姿も混じっていた。


「……容赦はしない。私は科学者。敵なら焼く、それだけ」


炎の向こうで静かに呟くアイリス。その白衣の背中には、もう迷いはなかった。


研究所・中央棟前。


一足先に内部へ突入していたアイゼンハワードとダイマオウは、ゾンビ化した魔族兵と交戦中だった。


「どうやら“あの男”は本気で世界を壊す気らしいな……」

アイゼンハワードは剣を構え、目を細めた。


「壊すのは俺の役目だってのによぉ!」

ダイマオウは鉈を肩に担ぎ、笑った。


そのときだった。


重厚な扉が静かに開き、ゆっくりと一人の影が現れた。


「……久しいな、アイゼン。マオウ。眠れ、俺の胸で」

ゾンビのように膨れ上がった肉体、しかし瞳は優しさを湛えていた。


トランス・ジェンダー(種族:大天使/性別:全て)


挿絵(By みてみん)


元・回復系マッチョ天使。情に厚く、誰にでも抱擁と癒しを与えた支援型戦士だった。


「嘘だろ……トラジェン……!」

アイゼンが叫ぶ。


「今の俺は“転写ゾンビマルチフォーム”だ。全ての性を、全ての苦しみを背負いし者。だが……お前たちを癒したい気持ちだけは……まだここにある」


そして、歪みながらも彼は魔法を発動した


《地獄のゆりかご ゾンビversion3》

抱擁と共に発動される強制回復魔法。だがゾンビ状態の彼は暴走し、味方も敵も強引に抱きしめようとしてくる。


「近寄るな! 抱擁で骨が軋むっ!」

「マジで死ぬ死ぬ死ぬってば!」

ダイマオウが叫び、逃げ回る。


涙をこらえながら、アイゼンは剣を握りなおした。


「トラジェン……君を“抱きしめ返す”ために、俺は進む!」


**《地獄のゆりかご・ゾンビバージョン》**を発動したトランス・ジェンダー(大天使/ゾンビ化)は、空中からマッチョな腕を広げながら降下!その肉体は腐敗しながらも神々しく、愛と死を同時に振りまく危険な存在に変貌していた。


「眠れええええッッ!!!俺のぉおおお胸でええええ!!!」


叫びとともに迫るゾンビ抱擁。


ダイマオウは鉄球を構えるも、「これは……効かん!」と身構えるしかない。アイゼンハワードも戸惑いを見せる。「奴は……かつて俺たちの仲間だった!」


そんな中、アイリス・オオオヤマはワクチン入り火炎放射器〈DAISONブレイズ改〉を構える。


「さよなら、あったかい胸……そしてバイ菌!」


アイリスが引き金を引いた瞬間、紅蓮の炎とともにワクチン霧がゾンビ・トランスを包む――だが、ワクチンは完全には効かない。


「ぬぉおおおっ!?熱い……でも……俺の愛は……止められなあああい!!」


どうやら、トランス・ジェンダーはゾンビ化してなお「回復魔法」のエネルギー核を保っており、それがワクチンの効果を部分的に無効化しているらしい。


しかし、ワクチンは確実に侵食を止めていた。


「くっ……アイゼン……俺を、止めてくれ……!」


トランス・ジェンダーの最後の叫びを聞き、アイゼンハワードが近づく。


「……ああ。お前の愛と力は、受け取った。安らかに眠れ、友よ」


抱擁の構えで迫るトランスに、アイゼンが渾身の一撃グラビティ・バスターを胸元に放つ。


「眠れ、俺の腕の中で」

ボォオッ!!!


炎とともに、トランス・ジェンダーは崩れ落ち、かすかに微笑んだ。


「生きているよまだ。ケツ穴にワクチンをラブ注入!」

アイリスが注射器でワクチンを打ち込む。

トランス・ジェンダーは、元に戻った。


この戦いからアイリスは重要なデータを得る。


「ウイルスの核は……“愛”に宿ってる。感情に反応して進化するのよ。これはただの兵器じゃない、心を奪うウイルス……!」


3人は静かに前を見る。


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