第7話 伝説魔獣《魔玄武》現界す ―湿地帯マリスモラ決戦―
【迎撃メンバー】
ダイ・マオウ
役割:破壊の象徴/前衛の主砲
魔玄武の攻撃は、巨大な尾と甲羅を武器に地形ごと粉砕してくる。ダイマオウは重厚な防御魔術と《鬼焔剣》を携え、魔玄武の側面へ突撃。塔の根元を破壊すべく、体当たりにも近い破壊的攻撃を繰り出す。
「オレの喧嘩は、止まんねぇ。首の骨ごと、義理と人情で折らせてもらうぜッ!」
アイゼンハワード
役割:元・英雄指導者/戦術判断の要
冷静な観察と膨大な戦闘経験を活かし、湿地での戦いに不慣れな仲間たちに動き方を指示。魔玄武の巨体の動きから攻撃パターンを読み取り、「塔の根元にある魔力供給源」への攻撃を提案する。
「長生きはするもんだな――まさか玄武の甲羅に苔が生えるとは、予想外だ」
助っ人 ナンバ・グランド(ナンバ・ラッカの子孫)
役割:爆裂錬金術の正統後継者。陽気でキレキレな爆弾ダンサー。
「爆裂の系譜」を受け継ぐナンバ・グランドは、ぬかるんだ地面に巧みにトラップを埋め込み、塔の下部に魔力集積反応を起こす「震動爆弾」を投げ込む。塔が傾いた一瞬、魔玄武の内部構造が露出し、チャンスが生まれる。
「ステップで導火線に火ィつけるわ! これがグランド流、“ダンス・デ・ドッカーン”!」
【戦闘開始】
ぬかるんだ大地が震え、濃密な瘴気が立ちこめる。
そこは北方・湿地帯マリスモラ。かつて神々の落とした涙が溜まり、忌まわしき魔力の水脈となった地。
「……来るぞ」
アイゼンハワードが呟いた瞬間、地鳴りが轟いた。地面が割れ、泥水が噴き出す。そこから現れたのは、巨大な甲羅に苔むした塔のような遺構を載せた、地底の守護者。伝説魔獣《魔玄武》。
「やっべー、あれ……動く要塞じゃない!」
ナンバ・グランドが顔をしかめた。
「どけ!このダイマオウが粉砕してくれる!」
地を蹴って突撃したダイマオウだったが
ズガァァァン!!
玄武の尾が地を薙ぎ、マリスモラの森が吹き飛ぶ。轟音と共に地震が起こり、水たまりが爆発するように跳ね上がる。
「っ……ぬううっ! 全然効かんぞ! 固すぎる!」
甲羅はまさに魔城。全身を覆う天然の要塞が、あらゆる攻撃を受け付けない。
その上、玄武は地響きと共に“地震魔法”を発動。大地が波打ち、3人の体が揺さぶられ、立っていることすら困難になる。
「……これじゃ、近づけねぇ……!」
アイゼンハワードはライフルを構えるが、揺れる視界と厚い甲羅に阻まれ、射線が通らない。
その時
ナンバ・グランドが踊り出す。
「……ったく、ダンスで命助かるとか……じいちゃん、信じてみるわ」
体を低く、足を回転させ、地面すれすれを滑るように動く。
それはまるで湿地の精霊が舞うかのような“湿地ブレイクダンス”。
そして、手に握られていたのは……特製の“爆裂チャームボム”。
「足元が、ガラ空きよ!!」
泥と水を巻き上げ、回転の勢いで爆弾を滑らせる!
爆弾は玄武の左前脚の下に滑り込み、ドンッ!!と炸裂!
「ガアァアアアアアア!!」
巨体がよろめいた――!
「今だッッ!!」
ダイマオウが跳び上がり、炎を纏った両腕で玄武の首をがっちり掴む。
「これが任侠だあああああああ!!!」
ボギィイッ!!
音が響く。
魔玄武の首が、折れた。
倒れる玄武。苔の塔が崩れ、湿地に静寂が戻る。
「……ふぅ。あいつ、思ったよりガンコだったな」
アイゼンハワードが汗を拭う。
「おれ、足つりそうなんだけど」
グランドはその場にへたり込みながらも笑う。
「だが、これで食材が揃ったな」
ダイマオウが魔玄武の甲羅を剥ぎ取る。中から取り出されたのは、とろとろの玄武コラーゲン、魔骨エキス、そして甲羅味噌。
マリスモラの天然泥を用いた土鍋に、魔玄武の甲羅でとったスープを張る。
コラーゲンたっぷりのスープに、野菜とキノコ、そして〆に“魔竜のひげ麺”を投入。
「はふっ、これ……美味すぎる……」
「こら、ダイマオウ! 食い過ぎだ!」
「精力ついちゃうわ」
戦のあとの一杯が、全身に染み渡る。
その夜、湿地のほとりに三人の勝利の笑い声が響いた。




