表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計56万2千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

412/1369

第11話 Drノアの研究拠点 選ばれし者たち

第二エリア《幻影試練領域》


無音のまま、重厚な鋼鉄の扉が開いた。蒼白い光が差し込み、レイラとアイゼンハワードの前に広がったのは、ねじれた迷宮のような空間だった。


足元に敷かれた透明な床の下には、過去の光景が投影されていた。街、学校、家族の姿――そして、レイラ自身が幼かった頃の姿も。


「ここは……私の記憶?」


レイラが一歩踏み出すと、景色が変わる。彼女の母が病床に伏す映像。誰も助けてくれなかった日々。孤独、怒り、そして無力感。感情の渦がレイラを包む。


「……やめて……見せないで……!」


しかし記憶は終わらない。目の前に現れたのは、母の命を奪った“黒き病魔”――それを生み出したのは、かつてノアの研究所から漏れ出した試作品だった。


「お前は守れなかった。何一つ」


幻影の声がレイラを責め立てる。膝をつく彼女。しかしそのとき、胸の奥から微かな声が響いた。


「泣かないで、レイラ。あなたは選ばれし者。私は……あなたの中にいる」


その声は、優しくも力強い響きを持っていた。白銀の羽音が空間に満ち、レイラの背に、かすかな光が灯る。


「……あなたは、誰……?」


「私はアリエル。かつて“光の大天使”と呼ばれた存在。アザリエルと戦い、力尽き、そして……今、あなたの中で目覚めの時を待っていた」


レイラの意識が、遠い記憶と繋がる。彼女の魂の奥には、封じられしもう一つの記憶。アリエルの記憶が宿っていたのだ。


映像が再び変わる。太古の空、天界での戦い。剣を手にしたアリエルと、堕天の力を纏ったアザリエルが激突していた。


「これが……私の過去……?」


「そう。君は私の転生体。運命は巡り、再びアザリエルと向き合うため、私は君に託された」


レイラの周囲に光が集まり、白銀の羽がはっきりと顕現する。瞳は燃えるような金色に輝き、かつての“戦士”としての力が覚醒していく。


アイゼンハワードが静かに見守っていた。彼は言葉もなく、ただレイラの覚醒の瞬間に敬意を表していた。


「……ありがとう、アリエル。そして私も、もう逃げない。私の力で、ジェームズも、アイゼンハワードも、みんなを守ってみせる!」


次の扉が、その決意を受け入れるように、音もなく開いた。

第三エリアへ。

黒と赤の螺旋通路が、その先へと続いている。


螺旋状に歪む空間を抜けると、そこは時の流れすら捻じれたような、異様な光景だった。空も地も溶け合い、浮遊する石の階段が永遠にどこかへと続いている。中央には、古代文明の遺物と思しき巨大な門《時の門》が静かに佇んでいた。


そして、その前に立つ二つの影。


一人は、白衣の裾を翻し、不敵な笑みを浮かべる男、Dr.ノア。

もう一人は、漆黒の翼を広げ、赤き瞳でレイラを見下ろす、堕天使アザリエルだった。


「……来たか、レイラ。お前の役割はここで終わる。そして新たな世界が始まる」


ノアが言うと、アザリエルの翼がゆっくりと広がる。翼の羽根一枚一枚がまるで刃のように光を反射していた。


「レイラ……お前の中に眠る“光の記憶”天使アリエルの魂。それは我が永劫の敵だ。今ここで完全に消し去らねばならぬ」


アザリエルの声は、深淵から這い上がるような静けさを持っていた。


「“神核融合”の儀式が始まる。ダークアースとライトアースを一つにし、《時の門》を開く……。その力でこの世界の未来を書き換え、我々が新たな創世主となるのだ」


ノアが天へ手を伸ばす。空に浮かぶ2つのコアが激しく震え、互いに引き寄せられていく。光と闇が渦を巻き、門の中心部が徐々に開いていく。


「……やらせない! ジェームズはどこ!?」


レイラが叫ぶと、ノアは口元を歪ませ、手をひと振りした。

その合図に応じるように、空中の岩が割れ、鎖に繋がれたジェームズ博士の姿が現れた。


「レイラ……行け……奴らを……止めるんだ……!」


博士の声が届いた瞬間、アイゼンハワードが前に出た。


「レイラ、ジェームズは俺が助ける。お前はアザリエルを止めろ! 奴だけは……お前にしか倒せない!」


レイラの背に、光の羽が現れる。まるでかつてのアリエルが覚醒するように、彼女の中の天使の記憶が光を放つ。


「アザリエル……あなたを止める。私は“アリエル”の意志を継ぐ者として、ここで終わらせる!」


アザリエルが翼を広げ、空へ舞い上がる。その瞳に宿るのは憐憫か、それとも嘲笑か。だが次の瞬間、空間ごと斬り裂くような一撃がレイラへと降り注ぐ。


Dr.ノアは儀式を続ける。

「時の門よ……我に過去を、未来を、そして世界の書き換えを!」


時空を超えた運命の対決が、ついに幕を開ける。


レイラ vs アザリエル。

アイゼンハワード vsDr. ノア。


そして人質のジェームズ

すべての真実が暴かれ、選ばれし者たちの物語は終局へと向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ