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【ランキング12位達成】 累計53万4千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの過去編 ―魔界の貴族編』

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第9話 扉の選択と覚醒の刻(とき)

亜空間の流れに導かれるまま、アイゼンハワードとレイラは《アビスゲート》の奥、神々が去りし後に残したという“光と闇の神殿”へとたどり着いた。


堂々たる神殿の中心、二つの扉が彼らを待ち受けていた。


片や、純白の光を湛えた大理石の扉。

もう一方は、深淵の闇に包まれた黒曜石の扉。


扉の上に、まるで古代神語のような詩が刻まれている。


挿絵(By みてみん)


「光と闇が交差するところに“ダークアース”は門の鍵。

門は二つ、過去と未来の交差点。

封じられし闇神核は、再び世界に試練を与える。」


レイラがそっと呟いた。


「……私たち、選ばなければいけないんだね。どちらの運命を過去か、未来か。」


アイゼンハワードは黙って黒い扉に手を伸ばす。


「俺は未来を視る。“破滅”が待つとしても、それが世界の真実だ。あの時の戦いの続きが、まだ終わってない気がするんだ。」


レイラは光の扉を見つめ、手を当てる。


「私は……過去を知りたい。なぜ私が“選ばれし者”なのか、なぜあの日、母は私に涙で別れを告げたのか……。真実が、ここにある気がするの。」


扉が同時に、鈍い音を立てて開いた。


□□□


レイラ:光の扉の試練【ライトアース編】

まばゆい光に包まれた神殿内部は、静謐で神々しい雰囲気に包まれていた。


そこに現れたのは、一人の女性の幻影


レイラの母、エリシア。


エリシア「レイラ。あなたには真実を知る資格があるわ」


レイラ「お母さん……?どうして……」


エリシア「光とはただ正しさではない。傷を癒し、他者を赦すこと。そして、自らをも赦すこと」


そして、二つの試練が告げられる。


【試練①:赦しの迷宮】

レイラはかつて自分が救えなかった人々の幻影と向き合う。幼き日の友人、失われた村人たち。


一人一人の幻影が涙を流し、レイラに問いかける。


「なぜ助けてくれなかったの?」

「あなたは勇者じゃなかったの?」


レイラはすべてを正面から受け止め、そして言った。


「ごめんなさい。でも、私はあなたたちの記憶と共に歩き続ける。もう逃げない!」


幻影が光に包まれ、消える。


□□□


【試練②:光の裁定】

天空に浮かぶ裁判台に立たされるレイラ。裁定者は天界の七神のひとり、“聖炎神ヴァルオス”。


ヴァルオス「人間は愚かだ。お前もまた罪に穢れた存在。光の力に相応しいか、示せ」


レイラは剣を抜く。真っ直ぐに神へと挑む。


魂を賭けた一太刀が、神の炎を貫いた瞬間――ヴァルオスは笑う。


「……人間、面白い。ならば託そう。“光の地核ライトアース”を、お前に」


レイラの手の中に、神殿の光が凝縮した白き結晶が現れる。

レイラは涙を流しながら見つめる。そして、胸の奥から光が溢れ始める。


「私の中に……母の意志が……!」


挿絵(By みてみん)


白い羽根が、レイラの背中からふわりと顕現する。

その瞬間、レイラは《神核の半身》として覚醒した。




■■■


アイゼンハワード:闇の扉の試練【ダークアース編】

闇の神殿は終末のように沈み込んだ空間。天も地もない混沌の中、彼は歩き続ける。


そこに現れたのは、もう一人の自分――“闇のアイゼンハワード”。


「お前は偽善者だ。すべてを救えると思っている。だが世界はそんなに甘くない」


【試練①:自己否定の影】

過去に殺した敵、裏切った仲間、信じていた者に裏切られた記憶が具現化する。


「お前は勇者じゃない。破壊者だ」


しかし、アイゼンハワードは呟いた。


「それでも――俺は前に進む」


影は裂け、光の欠片が現れる。


■■■


【試練②:神なき審判】

闇の神“デセクト”が姿を現す。


「我こそが真の世界秩序。お前は闇を否定しようとする者。では受けてみよ、終末の審判を」


闇の大剣を受け止め、アイゼンハワードは吼える。


「闇は拒絶するものじゃない。認め、制御し、背負うものだ!」


剣が折れ、神が崩れ去る。


手にしたのは黒き結晶ダークアース


□□□ ■■■



二つの扉を超えて再会

神殿の中心へ、光と闇が収束する。


レイラは白い翼と共に。アイゼンハワードは右腕に禍々しき黒の紋章を灯して。


“ライトアース“と“ダークアー“が融合した。


それは光と闇の両方を内包する、完全なる中庸の神核だった。


レイラが手を添えると、それは優しく震え、二人の前に文字が浮かび上がる。


「汝ら、選びし者よ。いま、世界に新たな秩序を示せ。」


二人は互いに目を見交わした。


「この世界は……私たちが変える。」


「たとえ、神をも敵に回してもな。」


そして、闇神核あんしんかく光神核(こうしんかく)

は二人の手に収まった。



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