第十六話 無言の回答
死と呪いの瘴気が渦巻く中、勇者アルベルトと海賊戦士エリックは、リッチロードの黒魔術《アビス・ジェネラル(深淵総裁の一撃)》により瀕死の状態にあった。
名前:アーケロン(リッチ ロード)
体力:4444
攻撃:888
防御:555
素早さ:666
固有スキル 自動再生 死者(状態異常スキル無効)
この世界で、若いときのグレイス・オマリーに敗れ、魔王に魂を売った海賊。半不死の身体を与えられる。
そこへ、リスクとシスターマリアが、船の揺れも構わず、船長室へとなだれ込む。
瀕死のエリックが声を上げる。
「そいつは、闇の霧で腕や身体が自動再生ができる。気をつけろ」
と注意を促した。
俺は考えていたことを今やるしかないと
薬草を口の中に放り込んだ。
俺はガシャンと破滅の盾を装備。
【リスクの防御が0から−100へ低下しました】
「ぎぁああああああ……ッ!!」
「ちょっ、痛い痛い痛い!魂がえぐられるみたいな感覚なんですけどッ!!」
その瞬間――
ゼロの能力者スキル、発動!
俺の身体が銀色のオーラをまとい、全身が硬質 な光で覆われていく。
《Aegis Absoluteアイギス・アブソリュート》――絶対防御の盾
俺の顔色がゾンビみたいに青白くなるなか防御力が+900上がった。
「わしの恨みをはらす場を邪魔するなぁあ」
リッチロードがもちろん村人などには目もくれず、シスターマリアへと走っていく。
「どけぇえええぇぇぇぇっ!!!」
リッチロードが、唸りながらシスターマリアに向けて猛突進!その黒きカギ爪は呪いを帯び、光すら裂く――
一歩…
二歩…
三歩…
四歩…
【呪いの効果によりリスクの体力は-20されました】
カキィィィン!!
「――止まった!?」
リッチロードの一撃は、リスクの絶対防御によってダメージ0で完全に無効化されたのだ。
リスクは、口の中でもごもごと薬草を噛み続ける。
【リスクの体力が20回復しました】
「このまま、歩きながら受け続けりゃ……俺、最強じゃね?」
「貴様……ナニモノダ……ッ!!」
リッチロードが驚愕し、動きを止めた。
その隙を逃さず、リスクは聖水を奴の足元へぶちまける!
ジュウゥウウゥゥ……
「ぎゃああああああああ!!」
足元が腐食していく。やはり、奴は聖なる力に弱い!
「シスターマリア、今だ――!」
シスターマリアの掌に、神聖なる光が宿る。
闇を裂くその輝きに、黒髪すら金に染まる。
「主の御名において裁きを……神よ、偽りの魂に鉄槌を――!」
「《神聖なる審判――セイクリッド・ジャッジメント》!!」
天空が割れ、巨大な光の十字架がリッチロードの右腕を貫く!
ドォォオオオンッ!!!
爆裂音と共に、右腕が粉砕され、再生の霧すら立たない。
「もしかして、聖属性の攻撃に弱いのでしょうか?」
「…………」
沈黙。否定も肯定もしないリッチロード。その無言こそ、何よりの“答え”だった。
だが奴は怯まない!左腕を振り上げ、再びマリアを狙う!
ダムネイション・クロウ(断罪の爪)
リスクはマリアの横へ素早く移動。
一歩…
二歩…
三歩…
四歩…
【呪いの効果によりリスクの体力は-20されました】
カキィィィン!!
絶対防御、再び発動!カギ爪の一撃を完全に受け止める!
むしゃむしゃと薬草を食べる俺。
【リスクの体力が20回復しました】
「主の御名において裁きを――神よ、偽りの魂に鉄槌を!」
「《神聖なる審判――セイクリッド・ジャッジメント》!!」
再び空が割れ、降り注ぐ光!
ドォォオオオンッ!!!
今度は左腕が爆発し、リッチロードの両腕が消え去った!
「貴様らあああああ!!絶対に許さんッ!!」
リッチロードは両手を天に掲げる仕草だけをし、黒魔術の全魔力を一点に収束させる。
「来るぞ……ッ!」
アビス・ジェネラル(深淵総裁の一撃)
魂そのものを切り裂く、回避不可能な即死級呪殺魔法!!
「消えろおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
その直前、リスクはリッチロードの広がった口に笑わし草を5個ぶち込む!
「(゜∀゜)アヒャアヒャヒャヒャアアアアア!!!」
骸骨がけたたましく、狂ったように笑い出す。(スキルは無効だが道具攻撃は効いてしまうのだ)
すごく気持ち悪い。
その隙をシスターマリアは逃さなかった!
「主の御名において裁きを――!」
「《セイクリッド・ジャッジメント》!!!!」
光の十字架が、今度はリッチロードの胴体を貫く!!
ドォォオオオンッ!!!
その上半身が爆裂四散!残るは足だけが、カチャカチャと動いていた。
「……やっと立てたぜ」
傷だらけのエリックがゆっくりと立ち上がり、斧を握る。
「母ちゃんに言ってやるんだ……あの恨み野郎、ぶっ飛ばしたってな!」
「喰らえぇえええ!!」
必殺・斧旋海牙!!
海のようにうねる回転斬撃が、残ったリッチロードの足を
粉砕。
海上の霧が晴れ、静寂が戻る。
俺たちは不死王リッチ・ロードを倒した。