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【ランキング12位達成】 累計52万6千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの過去編 ―魔界の貴族編』

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エピローグ 『さっちゃんの手紙』

現代。


午後の穏やかな陽ざしが、リビングの窓から差し込んでいた。

テーブルには紅茶と、小さなレターセット。

さっちゃんは静かに便箋を折り、封筒に収めると、ふっと微笑んだ。


「……あたしはあの時、アルを選んだ。そして今も、ずっと」


隣には、少し照れたような顔のアル。

彼の姿はかつての魔界の貴族いや、それを超えた「人間らしい温もり」を帯びていた。

鋼の仮面を脱ぎ、過去の罪をも受け入れた男。


さっちゃんはくるりと椅子を回し、幸子に向き直った。


「ねえ、知ってる? あたし今、毒舌を学んで“ツッコミの鬼”になったのよ」


「えぇ……なんで毒舌に」


と幸子が笑う。


「人間観察の成果よ。人間って、面白い。泣いて笑って、裏切って、それでも

手を取り合うんだもの」


彼女の瞳は、かつて戦場にいた少女のものではなかった。

選ばれなかったはずの命が、選び直しの未来を生きている。


アルはさっちゃんの手をとり、そっと握った。

その指は、戦いで何度も血に染まり、今は人のぬくもりを知っていた。


幸子もそっとその輪に手を添える。

かつての“魔界の貴族”と、“人間としての娘”

二つの世界の交差点に、確かなぬくもりがあった。


==========================


あの日、世界が終わってもいいと思った。

でも、終わらせなかった。

あなたがいたから。

あなたの手が、あたしの手を放さなかったから。


たったひとりでいい。

たったひとつでいい。

守りたいと思えるものに、出会えた。


この命を、もう誰にも奪わせない。

あたしは生きる。

笑って、怒って、ツッコんで――愛して、生きる。


そのすべてに、ありがとう。


BYさっちゃん


=========================


アルと幸子、そしてさっちゃん。

過去を越えた者たちは、今、新たな一歩を踏み出す。


『アイゼンハワードの過去編 ―魔界の貴族編』


ー完ー


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