第十五話 半不死身の身体
不死王【リッチロード】が姿を現す。
名前:アーケロン(リッチ ロード)
体力:4444
攻撃:888
防御:555
素早さ:666
固有スキル 自動再生 死者(状態異常スキル無効)
この世界で、若いときのグレイス・オマリーに敗れ、魔王に魂を売った海賊。半不死の身体を与えられる。
「よくわかんないですけど。まぁ……また俺が母ちゃんの代わりに、この恨み野郎を、ぶっ倒せばいいんでしょう」
アルベルトの声は、どこかで震えていた。リッチロードのただならぬ存在感が、鼓動を早めていたのだ。
「グレイス……貴様の血が、目の前にあるとはな……息子よ、貴様から八つ裂きにしてくれる……!」
リッチロードの両手のカギ爪が、不気味に紫黒い魔力をまといながら光る。
轟音とともにリッチロードが突進してくる!
「うおおおおおおっ!!」
アルベルトが盾を構え、真正面から衝突を受け止める!
ガギィィィィン!!
衝撃で船の床がめり込み、木の板が砕けた。
「く……ぅっ!! すげぇ力……ッ!!」
エリックが背後から手斧を振り下ろす!
「喰らえぇええっす!!」
ゴガンッッ!
手応えあり!リッチロードの肩の骨がもげて吹き飛ぶ!
「よっしゃあ!肩、飛ばしましたよ勇者さん!意外にイケるかも!」
しかし――
「ふん……そのような攻撃など無意味……」
ゴゴゴゴゴ……!
肩の骨が、闇の霧と共に再構成され、瞬時に元通りになる。
「……うそだろ……自動で……生えてきた?」
「言ったはずだ……我が身は“半不死身”。打撃も、斬撃も、焼けても砕けても、すべて再生する……!」
ネクロミスト・ヴェール(死霧の帳)
リッチロードが片手を天にかざすと、船室が暗転。
黒紫の霧が広がり、視界が一瞬でゼロになる。
「くっ……見えねぇ!どこだ、エリック!?」
「勇者さん!?俺も見え――ぐはっす!」
突然、闇の中からカギ爪がエリックを襲う。
ズバッ!!!
「うぐぁああああっっ!!」
壁へ叩きつけられる。返り血が霧に混じる。
ダムネイション・クロウ(断罪の爪)
アルベルトにも魔爪が飛ぶ!反射的に盾を構えるが――
ガァァァンッ!!
「ぐあっ!!?」
盾ごと貫通。胸に焼けるような激痛が走る。
「……っ、あぁ……青銅の盾が……貫通した……?」
リッチロードが霧の中で笑う。
「“青銅の盾”?笑わせるな……盾など、我が恨みの前では無力!」
「母の罪を!お前が背負えぇええええッ!!!」
リッチロードの怒声とともに、再びエリックへ猛攻!
ズバッ!ズバァッ!!
「うがっ、あがっ……ぐぅ……っ痛いっす!!」
エリック、腹部に深手を負い、片膝をつく。
「やべぇ……もう、斧……持ってらんねぇっす……」
「くそ……どうすりゃいい……っ!」
リッチロードがゆっくりと歩いてくる。
「終わりだ、勇者……そしてグレイスの息子よ……お前たちが何をしても、この身体は再生する。砕けても、焼かれても、潰されても……わしは“死なぬ”のだ」
黒いオーラがリッチロードの全身に巻き付き、さらに力を増していく。
リッチロード、両手を広げ、黒魔術の魔力を一気に収束させる!
アビス・ジェネラル(深淵総裁の一撃)
対象の魂そのものを切り裂く即死級の黒魔術魔法。回避不可能。
「消えろぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」
黒い閃光が船室を貫く。
アルベルトとエリック、は黒魔術魔法により絶体絶命ピンチとなったとき。
「大丈夫ですか!!勇者様、エリック様」
救いの女神 シスターマリアとおまけの村人リスクが助けに船長室へとなだれ込んだ。