第15話 ゼロの記憶、そして希望の継承
リーディオゼロのゼロの法則が《禁呪・魔鎖封陣》により解除された。
それと同時に軍服のステータスマイナスの術式も魔法封印される。
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名前:リーディオ ゼロ
レベル:90
体力:999
攻撃: 0+950(エクスカリバー効果中)
防御: 0+5000(防御アップシート 10秒間)
素早さ:0+950(ライトスピード・エグゼキューション効果中)
魔力:1200
賢さ:865
運:455
この世界でゼロの能力者とゼロの法則を継承した。唯一無二の世界最強の男。
固有スキル
・ゼロの能力者(マイナスのステータス効果を受けると1000をマイナスした数値が付加される。)
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魔法陣が消え、戦場に静寂が戻る――
それは、嵐の中心にしか存在しえない、張りつめた緊張だった。
ズズ……ッ
崩れ落ちるように膝をつくリーディオ・ゼロ。
その全身は蒼白い光を纏ったまま、ゆらりと立ち尽くしていた。
「な……なぜ、私の力が……」
「ゼロの法則が始まらない……軍服の魔導術式もロックされている。……!!」
ゼロの法則が完全に止まり、軍服の魔導術式も封印された。
ダイ・マオウがゆっくりと歩み寄り、拳を握りしめる。
10秒が経った、防御力が初期値の0(ゼロ)へと戻る。
「これで……終わりだ」
仲間たちは息を呑んだ。
この一撃で、全てが終わる。
いや、終わらせなければならない。
「ゼロの力を解き放ったお前は、もう戻れない……!」
拳が光を帯び、終焉の一撃が振り下ろされようとした。
その瞬間、
「ストォォップ!!ちょっとまったーあっと!」
重厚な声が戦場を裂いた。
割って入ったのは、黒き貴族アイゼンハワード・ヴァル・デ・シュトラウス。
「すまないねぇ、ダイ・マオウ君」
その手には、年季の入った一通の手紙。
「実はリスク君から……私宛にもう一通、手紙があってね」
ダイ・マオウの拳が震える。
「……なんだと?」
アイゼンハワードはため息まじりに続けた。
「もしゼロの能力者が……俺の子孫だったら」
仲間たちの目が大きく見開かれる。
「……殺さないで、罪を償うように。君の手で“処刑”を止めてもらえないかって、頼まれてたんだよ」
「……!」
「彼はね、心配性で、いろんなケースを想定して手紙を残していた。まったく……心配性で迷惑な奴で困ったやつさ」
アイゼンハワードの口元に、僅かな微笑。
だがその瞳は、静かな決意と、哀しみを湛えていた。
「だから……頼む、ダイ・マオウ。これ以上は“殺し合い”じゃない。命を繋ぐための、“継承”にしようじゃないか」
全ての視線が、ダイ・マオウに集まった。
拳はまだ震えていた。
だがその表情は、ゆっくりと、怒りから慈悲へと変わっていく。
「チッ……リスクさん、あいつ、ほんと厄介なことばっか残してくな」
その手が下りる。
リーディオ・ゼロの頭上すれすれで止まった拳。
「……お前は、まだ生きろ。償うんだ。自分の罪も、力も、過去も……全部だ」
リーディオは、初めて“人”のような目をした。
「俺は……まだ生き続けるのか」
その声は、かすれていた。
こうして、最狂の敵との戦いは、意外な形で幕を下ろした。
だが、物語はまだ終わらない。
ゼロの力、そしてリスクが遺した“継承”の意味
その答えを求めて、彼らは次なる階層へと進んでいく。




