第7話 魔界の貴族の実力
第四層の闇が渦を巻き、戦いの幕が上がった。
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名前 アイゼンハワード・ヴァル・デ・シュトラウス(サターン)
レベル:99
体力:12000
攻撃:9900
防御:9900
素早さ 999
魔力:9000
賢さ:999
運:100
この世界で、かつて魔王に忠誠を誓っていた高貴な家系に生まれながらも、密かに魔王の座を狙う冷酷非道な魔族。見た目は優雅で、上品な口調と振る舞いだが、その本性は徹底的な計算主義と暴虐。彼は「忠誠心と野心は共存する」と語り、魔王に仕えつつ、影ではその失脚を画策している。魔王軍の中でも最も恐れられる存在の一人であり、彼の命令を拒む者は少ない。
【固有スキル】
闇王の威圧戦闘開始時、敵全体の攻撃力・防御力を20%低下(永続)。さらに低ランクの敵は2ターン行動不能。
暗黒耐性 MAX「闇属性の魔法・攻撃を完全無効。さらに光属性の攻撃も50%カット。
魂喰いの眼HPが50%以下になると、自動で敵一体の最大HPを吸収。 1戦闘につき1回発動。
闇の覇者聖属性の敵に対して与ダメージ2倍。
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ダイマオウは胸を張り、眼差しを鋭くした。
「あんたを倒して、この先へ進む!」
アイゼンハワードは冷笑を浮かべ、両手を広げる。
「ふむ……勇者と魔王、二つの顔を持つ者の戦いか。ならば、真の魔王は私だと証明しよう。」
闇が激しく揺れ、虚無の城の第四層に戦いの火蓋が切られた。
「闇王の威圧」
その言葉と同時に、地が震え、空が軋む。
空間そのものがねじれ、重く、動きが鈍くなる。
リーリアの眉が跳ね上がる。
「なに……体が、重い……!」
「くっ……俺の剣が遅れてる……!?」
ユキネの斬撃が数寸、届かずに止まる。
【アイゼンハワードのスキル発動】
▸ 敵全体の攻撃力・防御力 20%低下(永続)
▸ 低ランクの敵2体、2ターン行動不能
ウルウルと風子がその場に膝をつき、動けない。
「な、なんで!? 体が……反応しない……」
「これが……魔界貴族の、格……!?」
「ふむ。想像よりは愚かではないな」
アイゼンハワードは悠然と歩を進め、指を鳴らした。
漆黒の魔弾が、空間を裂いて放たれる―
「《デス・レクイエム・ルーレット》」
リーリアの防壁魔法が一瞬で砕け散る。
「きゃあああっ!!」
ダルツライがスナイプしようとするが、照準が定まらない。
「アイツ……動きを、読んでいる!?」
オーヤン・シャオシャオ、小小は、震える唇でマイクを握った。
「……舐めんなよ、悪趣味な貴族が! あたしらが、どんなにバラバラでも――
魂はひとつ、バンドは解散しない……!」
彼女のギターが轟く。
《ロックオーバードライヴ! フルバフ・バースト!!》
光が仲間たちの体を包み、重圧が少しずつ溶けていく。
▸ 攻撃力+30%!
▸ 魔力+20%!
▸ 状態異常耐性上昇!
「ナイスだ、小小!」ナンバ・ラッカが再び構える。
「これなら爆裂術式、イケるぜ!」
しかし、その時。
「HPが50%を下回りました」
アイゼンハワードの右目が怪しく輝く。
【魂喰いの眼発動】
▸ ユキネの最大HPを吸収
▸ アイゼンハワードHP 50%回復
「がっ……!?」
ユキネが胸を抑えて膝をついた。
「まさか……あれが魂を喰らう魔眼……」
リーリアの声が震える。
そのとき―
「みんな下がれ!!」
ダイマオウが前に躍り出る。
その額に念力が集中し、目から紅光がほとばしる。
「喰らえ! 念道力・眼砲!!」
同時に、腰の二丁拳銃を抜き放ち、目と手からの三連撃が漆黒の貴族に迫る。
「ふむ……力でねじ伏せるタイプか」
アイゼンハワードは結界を張るが
「その結界、砕くぜ!!」ナンバ・ラッカの叫びと共に、爆裂符が飛び込む!
ドドドォォン!!
結界が砕け、アイゼンハワードが後退。
「……ほう。なるほど、ようやく少し面白くなってきた」
口元をぬぐったその貴族は、今度こそ本気の顔になった。
「では……貴様らの“覚悟”というものを、私に証明してもらおうか」
第四層の空気がさらに冷え、深く、深く、沈み込む。
戦いは、まだ始まったばかりだった。




