第6話 次の魔王は、私だ!ダイマオウ君ではない!
虚零の城第四層《零の墓場》。
闇の中を駆け抜けた正門チームと裏門チームが、ついに合流を果たした。
「みんな無事で、本当に良かった……!」
仲間達の無事な姿に、ダイ・マオウの声に安堵が溢れた。
ナンバ・ラッカは思わず握り拳を強くし、ウルウルは涙をこらえながら仲間たちの顔を見渡す。
「やっぱり、あんたたちと一緒なら怖くない!」
狼ギャルの声に皆の心が震えた。
リーリアも疲れた笑みを浮かべながら、仲間たちに頷いた。
「ここまで来られたのは、みんなの力があったから。希望はまだ消えていない」
しかし、その空気はすぐに冷たく凍りついた。
リーリアの口から語られたのは、最愛の師であり、黒と白の賢者サーテンリの死――。
「サーテンリ様は……もう、この世にはいません」
その言葉はまるで冷たい剣のように胸を切り裂いた。
「嘘だ……そんなはずはない!」
ダイ・マオウが震え声で叫んだ。
「彼女がいなければ、俺たちは……」
ダイ・マオウの拳が震え、歯を食いしばる。
その時、不気味な気配が闇を裂いた。
闇が濃く深く渦巻き、空気さえも重く凍りついたその瞬間、静寂を破るように優雅な足音が響き渡った。
「来たか、ダイマオウと勇者の末裔たち、そして弟子よ」
闇の中から浮かび上がるのは、漆黒のマントを羽織り、整った顔立ちに冷徹な微笑みをたたえた男。
アイゼンハワード・ヴァル・デ・シュトラウス。
かつて魔王に忠誠を誓いし、高貴な血筋の魔族。
だが、その優雅な振る舞いの裏には、徹底的な計算と冷酷非道が潜む。
「忠誠心と野心は共存する」
彼はそう語りながら、誰よりも魔王を支えるふりをしつつ、密かにその座を狙い、影で失脚を画策する。
魔王軍の中でも最も恐れられ、彼の命令に逆らう者は皆無。
その冷たい瞳は、敵も味方も貫き通す鋭い刃のようだった。
「ここを通りたければ、私を倒すしかないな。さあ、真の支配者の力を思い知れ」
その一言で、虚空が震え、周囲の魔力が重く濁る。
アイゼンハワードが放つ威圧感は、まるで魔界の深淵そのもののように、全てを飲み込もうとしていた。
これはただの戦いではない。
野望と裏切りの激突、次代の魔王を賭けた決戦の始まりだった。




