第4話 情報の監獄、沈黙の真実《正門チーム》
虚零の城 第三層 《情報の監獄》。
ここは、言葉が反転する層。
「真実は嘘に」「嘘は真実に」……口にした瞬間、全てが裏返る。
第三層への侵入
ダイ・マオウたち正門チームは、禍々しい黒水晶の回廊を進んでいた。
壁に耳を当てると、”誰かの過去の告白”がノイズのように流れ込んでくる。
「ここ……言葉の圧が、違うな」
ナンバ・ラッカが耳を押さえる。
「ウチの爆発音すら、なんか嘘くさく聞こえる……おえっ……変な感じ……」
「気を抜くな。情報が反転している。つまり、“言葉”を信じてはいけない」
ユキネが鋭く警告を飛ばす。
「じゃあ、どうやって指示出すんだよぉ……」
ウルウルが不満そうに狼耳をピクつかせる。
「……体で伝えろ。それが任侠の作法だ」
ダイ・マオウは拳を握る。
「がんばりマッスル!! 語らずとも伝わる、魂の会話!!」
マッチョ大天使トランスジェンダーが感動して光る。
ゼロ部隊の幹部 クロセルの罠《逆転する真実》
そのとき、空気が変わった。
天井から吊るされた黒い紐と、宙に浮かぶ“言葉の鎖”が絡みつくように空間を歪める。
黒衣の法衣をまとい、面に沈黙を貼り付けたような男が姿を現した。
「汝らは、言葉に溺れ、真実を捨てた者たち……」
《告解官クロセル》が現れる。
「言葉とは呪い。心とは欺瞞。さあ、語れ――お前らの“嘘の真実”を!」
バァン!!
唐突に、ウルウルの背中から「真実告白玉」が爆発。
「えっ!? えっ!? ちょっと!? アタシ……!?」
ウルウルの脳内に、**“勝手にでっち上げられたスパイの記憶”**が流れ込む!
「やば……あたし……ダイマオウを……裏切って……!?」
「ちょ……まっ……ウチ、裏切ってへんよ!?」
だが、口から出た言葉は反転する。
「ウチ……裏切ってました♡♡(嘘)」
仲間たちが一斉に止まる。
「まじかよウルウル!?」
ナンバ・ラッカが叫ぶ。
「落ち着け、これは罠だ。嘘が真になる――言葉を使えば使うほど、仲間が疑心に陥る」
ユキネが静かに目を伏せる。
「言葉じゃない。信じるんだ、心を」
ダイ・マオウが前に出る。
「おい、ウルウル」
「え……うぅ……アタシ……ほんとは……ほんとは……!」
嘘と記憶の狭間でウルウルが涙ぐむ。
その時、ダイ・マオウは彼女の肩に手を置いた。
「お前が、俺のために犬笛をくれた気持ち。それが“真”だ。俺は忘れてねぇ」
「……ダイ……」
「仁義ってのはな、“信じる理由を相手に押しつける”ことじゃねぇ。“信じると決めたことに、命張る”って意味だ」
ダイの目が赤く光る。
仁義の拳が燃える。
「問答無用や! 爆発は言語いらん!」
ラッカが爆弾ラップを踏みながら、クロセルに錬金炸裂弾を投げる!
「オーバー☆ブゥゥゥスト!!」
バァァン!!
「この刃は信じた者のためだけに……」
ユキネが氷の刃《白刃・マサムネ》を振るう。
トランスジェンダーが両手を広げて叫ぶ!
「言葉より先に、筋肉は真実を抱きしめる!! “ねむれ、俺の胸で!”筋肉は裏切らない!」
地獄のゆりかごで回復を撒き散らす!
そしてダイ・マオウは、拳を掲げ
「“仁義無き真実”、見せてやる!!」
クロセルに渾身の鉄拳を叩き込んだ!
ズバーーーンッ!!
「く……くだらぬ……言葉がなければ、秩序も、裁きも、ないのだ……」
クロセルの身体が黒い“文字の塵”となって崩れ落ちる。
「だから俺たちは、信じたもののために、拳で語る。以上だ」
最後にウルウルが泣きながら一言
「ダイぃぃぃぃ~~~!! あたし……信じられて……しあわせぇぇぇえ!!」
「……そ、そこまで泣くことねぇだろ……!」
「しっかりせえウルウル!」
「やっぱセクシーって、信じ合うことで完成するんだよ……ね?」
「ちょっと意味不明です風子さん」
「筋肉もそうです」
「マッチョうるせぇよ!!」
仲間たちの背を受け、ダイ・マオウチームは再び進み始める。




