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【ランキング12位達成】 累計57万5千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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第3話 重力の檻、墜ちる希望《裏門チーム》

虚零の城・裏門ルート第二層。

その名は《重力の檻》。空間そのものが“敵”になる狂気の領域だった。


「天井が……下にある……!?」

シャルボニエが天井に立つ兵士の幻影に剣を構える。


「逆さまじゃない。あれが今の“床”よ」

ダイソン・サイクロンが冷静に言い放ち、魔法プリントをばらまく。


「現在、重力ベクトルは……A方向に傾斜80度、毎秒で変動……これはッ!」


ギィイイイイイイイィィ――ンン……!!


重力の音が“空気を裂く”形で唸り、空間が折れ曲がる。


「ギャッ!? お尻から天井に吸われたんやけど!?!?」

風子が逆さにぶら下がってパンツ丸見え。


「……風の流れも逆だわ……これは、本格的にやばい」

リーリアの顔が険しくなる。


重力トラップが次々発動!!


突然、足元の床が“下”へ落ちる。と思ったら次の瞬間、“横”へ吸い寄せられる。


「これ……立ってるだけで死ぬわね……」

ダルツライが寝袋にくるまったまま、壁を這うように移動。


「スナイパーの誇りも何もあらへんな」


「うっさいわね! 落ちるよりマシでしょ!」


重力の向きが「秒単位」で変動するこの層。

まるで空間そのものが、彼らを“殺しにかかってくる”。


挿絵(By みてみん)


「この空間は……“人を生かす設計”ではない……」


ゼロ部隊の幹部《重圧王クラッシャ》、降臨

そのとき、重力が“音”になって爆ぜた。

重みの具現が歩くように、鉄の巨体がゆっくり現れる。


「我は《重圧王クラッシャ》。重力そのものを喰らう者なり」


無数の浮遊鉄塊が周囲を回転し、空間ごとねじれる。


「クラッシャ……!」

リーリアが名前に覚えがあった。


「貴様らは虚無へと沈めるに値する。この空間においては、貴様らの存在も等しく“塵”」


ズズズ……ッ!


クラッシャの掌から、圧縮された重力波が放たれる。

空間がねじれ、シャルボニエの竜の翼が引きちぎられそうになる!


「やらせない――!」

リーリアが魔法陣を展開!


「風よ! 世界の歪みに抗え――《シーザース・ウィンド・Σリバース》!!」


暴風が空間のねじれに逆らい、全方向に解き放たれる!


「なるほど、“風”で重力の歪みを相殺したか。だが――!」


クラッシャが口元を歪め、次なる一撃を放とうとしたその時――


「……お前、“白と黒の賢者”の弟子だったな?」


クラッシャが嗤う。


「無駄だったよ。お前の師匠、サーテンリはな……ゼロに殺された」


「……っ」


「泣き叫び、敗れ去った。平和だ? 理想だ? この城の“礎”にされたのさ」


リーリアの心臓が、音を立てて止まる。


「……うそ……」


「違うって言ってよ、クラッシャ……」


「事実だ。あの老いぼれは、“理想”を説きながら、何も守れなかった」


「……嘘だって言ってよ……ッ!!」


風が、叫んだ。

リーリアの瞳が風で震え、膨れあがる魔法陣が暴走の兆しを見せる。


「リーリア!? 落ち着けって! お前まで死ぬぞ!」

風子が叫ぶ。


「ダメだ、魔力のバランスが崩れてる……!」

ダイソンが必死に数式で抑え込む!


「私は……わたしは……!」


「……アンタが泣いたら……誰が前に進むのよ」

ダルツライが寝袋から、ライフルの銃口をクラッシャに向ける。


「狙撃ってのは、冷静な頭でするもんよ……先輩から、そう教わった」


バン!


銃声が空間を切り裂き、クラッシャの重力核を貫く!


「ぐっ……!? な……に……!」


「今よ、リーリア!」

「……ありがとう、ダル……みんな……」


リーリアの手から、もう一度風が生まれる。


「これは、先生の風……あなたの言葉の代わりに、私が届ける」


《詠唱》

 回れ、暴け、舞い踊れ

 千の風よ、剣となれ――

 “サウザウド ソードスウィンド・バースト!!”


無数の風の刃が螺旋を描いて発射!

重力の狂った空間を縫い、クラッシャの鉄壁の盾を削り取る!


「ぐあああッ!? この私の重力装甲が……!!?」


暴風がクラッシャを包み、彼の重力魔核を粉砕した。


クラッシャが沈黙し、重力が正常に戻る。

空間は崩れず、次の層への階段が姿を現す。


「……サーテンリお師匠様……私たち、進みます。ゼロに……必ず、届きます」


リーリアは涙を拭い、立ち上がった。


仲間たちの背を受け、リーリアチームは再び進み始める。



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