第7話 演算不能の恋と憎しみダイソン・サイクロン再来!
雷を焼いたウナギの匂いがまだ空気に残る頃。
突如、空間が「カチリ」と数式の音で閉ざされた。
そこは“数式領域”。
立ち込める光はすべて計算式、
風も温度も、すべてが方程式で構成された世界。
その中央に、一人の少女が立つ。
白衣を翻し、手にはプリント用紙1000枚。
その瞳は光速で演算し、
その口元は、微笑にも冷笑にも見える。
「再び参上、IQ310の演算魔術師……
マリ・キュウリの血を継ぐ者、ダイソン・サイクロンよ。」
\ バサァァァァン /
数百枚のプリントが空中を舞い、数式の嵐を巻き起こす!!
リーリア「また来た!?前回より計算が爆速になってる!」
ラッカ「ワイの爆薬が……数学的に否定されてるゥッ!」
ダルツライ「(寝袋の中で)……解けない方程式、爆誕だな」
ユキネ「……式の密度が高すぎて、剣すら通らない」
そんな中、ただ一人、ダイ・マオウだけが、
正面から彼女を見据える。
「……また来たな、紙の山」
「私の攻撃を“紙の山”でくくるとは知性の冒涜ね……」
彼女の手元に浮かぶ演算魔法
《E=mc²÷♡》
「これはね、怒りの方程式よ。あなたの愚行、計算で出すから」
だが、その瞬間。
ダイの右ストレートが紙をかき分けて届く!!
「……だったら、答えは“俺の拳”で出す」
\ バギン!! /
拳と紙がぶつかった瞬間、火花が走る。
「ッ……な、なに!? 方程式が…崩壊した!?」
彼女の演算式に乱れが生じる。
「バカなの!? この式は、論理的に破壊不能なのよ!」
「そんなもん知らん。俺の“気合”は計算外だ」
「なっ……気合!? 馬鹿な、非論理的な……それを……!」
顔が熱い。
心拍数が上がる。
脳がオーバーヒートする。
ダイソンは宙に浮かぶ最後のプリントを片手に、振り返る。
顔は真っ赤、でも目は本気。
「この感情の正体……私は、ちゃんと証明するわ」
手元のプリントに、超難解数式が自動記述されていく。
「……っ!?」
プリントが震え、端から蒸気が噴き出す。
「な、何よこれ……式が、収束しない……!?」
そして最後に、一言だけつぶやいた。
「あなたという“未知数”がいる限り、 この式は永遠に証明できない……」
\ポッ/
顔を真っ赤にしながら、光に包まれて消えていくダイソン。
ラッカ「……これ、つまり恋ってことかいな?」
リーリア「いや、ただのバグよ。IQが高すぎるバグ」
ユキネ「“好き”とは、計算で証明できないということだな」
ダイ(ぼそっ)「……次は、ちゃんと“言葉”で伝える」
ダイソン・サイクロンは魔導スマフォで呼べば来てくれそうだ。




