第4話 傭兵くノ一・風子、現る!《風邪とセクシーは紙一重》
その日、夕暮れの風がやけに温く、廃都市リム=ヴァンの路地は静寂に包まれていた。
ダイ・マオウと仲間たちは、次なる敵の情報を整理しようと一息ついていた……
そのとき。
「ぽんっ♡」
謎の煙玉が突然足元で弾け、視界を覆う。
「ひゃっ!? 爆発か!? ラッカのか!?」
「いやちゃう! 俺の火薬ちゃう! 匂いが……なんか甘いぞ!?」
煙の中から、ぬっと現れたシルエット。
くるんとターンし、ポーズを決める。
「風のように現れ、風邪をひいて去る!
セクシー忍者、風子! ただいま参上♡」
名前:風子
種族:くノ一(自称・傭兵)
【性格】セクシー全振り。行動は自由、口は軽やか、服は軽装。
【口癖】「セクシーは世界を救う♡」
リーリア(呆れ)「……誰?」
ダイ「なんか、風邪ひいてる?」
風子は両手を腰にあて、どや顔で前に出る。
「ちょっとちょっと〜、その態度なに? ダイ・マオウ様!
私を、雇った方が……絶対チョーお・と・く♡なのに!」
営業、開始!
風子「わたし、仕事早いです! 雇用契約書は印鑑押すだけ!情報収集・潜入・色仕掛け・夜勤可! ボーナスいりません♡」
ラッカ「ボーナスいらんのは分かったけど、色仕掛け強調しすぎやろ!」
風子「でも一番得意なんだもん♡ さあ、実演しましょうかぁ〜♪」
風子、くるりと一回転し、妖艶なポーズをとった。
「セクシー忍法・桃源誘惑の舞っ♡!」
ぽんっ!
忍法スモーク弾が弾ける!
次の瞬間、風子が10人に増えた!
それぞれがウインクしながら甘い言葉を囁く!
1人目「この契約書……あなたの名前、書いて♡」
2人目「私、ボーナスいらないの♡」
3人目「健康診断、毎年いらないの♡」
4人目「社保完備じゃなくてもいいの♡」
5人目「昼寝つきオフィスで十分♡」
6人目「ダイ様、こっち見て〜♡」
7人目「福利厚生はいらないよぉ~♡」
8人目「足を高く上げますね♡」
9人目「交通費込みしておきますから♡」
10人目「いつ私と結ばれますか♡」
リーリア「バカが10人に増えても、賢さは増えません……」
ラッカ「いや、これ実戦で使えるか? 敵が笑って死ぬぐらいちゃうか?」
ダルツライ(寝袋の中から)「うるさい……お得アピールで耳が死ぬ……」
風子 (ふたたびセクシーポーズ)
「どう? ね? 私、便利でしょ? 色仕掛けも炸裂でしょ?」
ダイ「で、お前……戦えるの?」
風子「ふっふっふ……見くびらないで♡」
◆風子の必殺奥義(?)
「“セクシー分身爆弾・フィナーレキッス”♡!」
風子の分身の全員が一斉に投げキッス。
その瞬間、分身が爆散(小規模)!
ドゴン!ドゴン!ドゴン!
煙に包まれる仲間たち。
ラッカ「ちょ!? 分身爆発すんのかい!! 火薬使っとるやろ!」
リーリア「何のための分身なのか、本気でわからない」
ダルツライ「……もう誰か、解雇して」
煙が晴れ、咳き込む風子。
「けほっ……へっくしょん!!※ ※
ああ、風のように現れたら……風邪ひいちゃった……♡」
「またご連絡くださ〜い♡風のように働き……風邪ひいて休むのが、私の信条♡」
くしゃみ一発、忍法スモークで姿をくらませた。
ラッカ「いや働いてへんがな!!」
リーリア「“営業迷惑忍法”……そんな分類があるのね」
ダルツライ「……この世界は、今日もくだらない……」
ダイ(小声)「……ちょっと嫌いじゃない」
風子は風のように現れ名刺を置いて風邪を引いて去っていった。




