第3話 爆裂狂宴、爆弾息子現る《全・爆・解・放!!爆破領域テンカイ!》
町が、炎で踊っていた。
いや、違う。
爆発していた。
どこからか聞こえるハイテンションなドラムビート。
爆音と火柱がリズムを刻み、建物がまるで踊るように吹き飛んでいく。
「ダイ! これはもう自然現象じゃない! 誰かが……故意に!!」
「火薬の量からして、かなりヤバいな……おい、上!」
ビルの屋上に、ひとりの少年がいた。
真っ赤なゴーグルに爆破ベスト。
腰には大量の試薬と導火線、口元はにやけっぱなし。
「へっへへへへ……待ってたでぇ、リーリアちゃんにダイ・マオウくん!」
名は、ナンバ・ラッカ。
爆発マニアであり、ナンバ・カゲツの子孫。
コードネーム:バクレツ・ボンバーズ No.1
「オレん作ったステージ、気に入ってくれたかいな!? 爆破のリズムに乗ってくれたら光栄や!」
「いや乗れるかああああああ!!!」
リーリアが即ツッコミ。
「ていうか、何のために爆破してるのよ!?」
ラッカは満面の笑みで言い放つ。
「決まってるやろ!
“カッコええから”や!!」
ドン!!
その瞬間、足元の床が**自動爆発で吹っ飛び、ラッカはポーズを取りながら空中回転して着地。
「さぁ、爆発しながら踊ろうやぁ!!」
空中で火花を撒きながら、ラッカが爆破リズムステップを踏む。
爆発とともに現れるエフェクト文字:
《BOM》 《KA》 《PAN》 《DON!!》
「爆破系男子、ここに極まれりぃぃ!!」
「ダメだこいつ完全に特撮出身だ……!」
リーリアの脳内で警報が鳴る。
だが、リーリアは冷静に魔法を展開。
「風よ、爆風を逸らせ!」
→爆発無効化!
ラッカ「んおおっ!? 爆破無効とか反則やろォ!?!?
……けどな、爆弾使いってのは、失敗の数だけ手数が増えるんやでぇえ!!」
爆弾投げる!
→魔法で止められる!
→爆弾の中から小型爆弾が飛び出す!!
→さらにそれが連結して爆裂ドローンに変化!!
「なにその多段構造爆弾!?」
「進化系や! ワイの爆発は常に前へ進むッ!!」
戦いは激しさを増す。
だがその中で、リーリアの放った「爆発で守ったことあるの?」という一言が、
ラッカの脳裏に“ある言葉”を蘇らせる。
それは――
幼い頃、母・ナンバ・カゲツが爆炎の中で笑いながら言ったこと。
「爆発ってな、誰かを傷つけるだけやない。
誰かを守るために使ってこそ、一人前や」
「……あんときのオカン……めっちゃカッコよかったなぁ……」
火柱の中、ラッカが顔を上げる。
「……しゃあない、寝返ったるわ!」
「え、急ぅ!!」
「オレは正義に興味ないけど、カッコええ方に付くんがポリシーなんや!!
今日からはワイが爆破サポート担当や!!」
その瞬間、火の中からバックライトを受けて登場するラッカ!
背中で爆発が起きて、勝手にテーマソングが流れる!!
「ナンバ・ラッカやでぇぇぇ!!
火薬の申し子にして、導火線より短気!
爆発音を子守唄に育った、関西生まれの爆裂アーティストやッ!!
正義とか悪とかどっちゃでもええ!
要は“ドッカーン!”がカッコええかどうかや!!
曖昧なまま走り抜けるで、爆風背負って生きていく!!
ワイの人生、毎日が大炎上やぁぁぁ!」
「自己紹介が長い!!」
こうして爆弾息子ラッカは、リーリアたちの仲間に加わった。
以後、仲間を守るための“やさしい爆発”が炸裂し続けることになる。
それはそうと、
ラッカが仲間になってから3日で、仲間たちのテントは4回吹き飛ばされたという。
「学習してぇぇぇぇぇ!!!」




