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【ランキング12位達成】 累計57万5千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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第3話 IQ310の演算魔術師 『1000枚のプリント vs 二丁拳銃!? 勝つのは計算か、気合か!』

風が止んだ。

空気が、変わった。


そしてリーリアが静かに言った。


「来たわ……“あの系譜”が……」


次の瞬間、丘の向こうから紙吹雪のように何かが舞い散る。

いや紙吹雪ではない。


プリントだ。


正確に四隅をホッチキスで留められた、A4のプリント1000枚。


ドドドドドドドド!!


「どわああ!? 目に刺さるぅぅ!!」

ダイはバサバサと紙にまみれて転がる。


その紙の雨を割って、悠然と歩いてくる少女がいた。


無表情。眼鏡。三つ編み。

腕には巨大なバインダー、背中にはプリンタータンク、腰には理数辞典×8冊。


名を


挿絵(By みてみん)


「私はダイソン・サイクロン。マリ・キュウリの曾孫にして、次元数式演算魔術師」


ドンッ!!


「IQ310……!」

リーリアが歯ぎしりする。


「ようやく出会えたわ、公式で世界を変えようとする系女子……」


ダイソンは淡々と言った。


「この“魔界人口分布モデル”によると、あなたたちの勝率は2.4%。ついでに、あなたたちがこのまま旅を続けると、平均寿命は6日短縮されるわ」


「えぐっ!!?」

ダイが素で引く。


ダイソンはバインダーからプリントを次々に取り出し、戦場に撒いた。

魔力を帯びた紙が空中で浮かび、数式が走るたびに重力や気温が変化していく。


「これが……プリント掃除機魔術……!」


リーリアが呆然とつぶやく。


ダイはというと―


「よーわからんが、つまりコイツはプリントに魂を売ったってことやな!?」


「違う。計算と計画に基づいて行動する者が“正義”なの。無意味なビームや拳銃に頼る時代は終わったのよ」


それを聞いたダイ、グラサンをかける。


「ほう……お嬢ちゃん。

IQがいくつあってもな、

“カッとなったときの火力”は計算できへんのや……!」


ガシャッッ!!

二丁拳銃、抜刀。


「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

リーリアの制止も聞かず、

気合だけで突っ込むダイ・マオウ!!


ズガガガガガガガ!!


プリントが燃える、数式が焼ける!

「やめなさい、それは論理が崩壊するっ!!」

ダイソンが必死に数式を書き換えるが、弾丸の方が速い。


「空間が……捻じれる……IQが……ッ!!」


結果


「……うぐっ、敗北原因:気合量……計算不能……」

ダイソンはプリントの山に埋もれて沈黙した。


「へっ、だから言うたやろ。拳銃はロジックを撃ち抜くんや」


「……そのセリフ、世界であなただけよ……」


リーリアは頭を抱えながらも、勝ったことには違いないと小さく笑った。


夕暮れの中、プリントの焦げ跡が風に舞う。


その中で、ダイソンは目を開いた。


「……やはりこの世界、計算では追いつけない要素が多すぎる。ならば、私も……“変数”を使う時が来たかもしれない」


ダイソンは敗走した。


次に彼女が再登場するとき、IQ310に"感情"というバグが加わっているとは、

誰も知らなかった。


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