【最終話】 失敗って、最高やん? 季節は、パンがふんわり焼ける春。
季節は、パンがふんわり焼ける春。
今日はついに卒業の季節。
セクシャル「今日で……錬金更生プログラム、卒業……なんやね……」
バイシャル「ぜんぜん更生できた気がせーへん……」
カゲツ「ウチらが“更生”しとるんやなくて、世界の方がウチらに慣れただけやろ。」
そう、天界から与えられた「錬金術危険者」向けの研修プログラムは、無事(?)終了。
町の図書館は一度焼けたけど、なんとか卒業はできた。たぶん。
だが
「おめでとー! けど……ウチら、研究やめへんで?」
3人は卒業を機に、廃ラボを買い取り、自分たちの私設研究所を設立。
名前は
ラボ名:「失敗∞(むげん)ラボラトリィ」
〜何度でも、パンと爆発は甦る〜
屋根はだいたいある。壁も半分は直った。
なにより、人格をもったパンたちが立派に働いていた。
人格付きパンたちが、すでに社会復帰済み!
トースト・アインシュタイン:近所の大学で哲学の授業担当
クリーミィ・ブリオッシュ:ケーキ屋の看板娘(?)に就職
パンク=ザ=パンク:町のPRバンド「爆パン★ズ」で大人気
クロワッサン・ルージュ:市役所職員(広報担当、たまに革命)
シュガーホラー・デニッシュ:保育園でふくらむマスコット的存在
ベーグル兄貴:スポーツジムのトレーナーに転職(重い)
さらに
新たな人格パンも大成功!
アンパン先生と、ジャムパン係長がまじめに出勤中。
アンパン先生「失敗したって、アンコは心に残るものだよ」
ジャムパン係長「昼はイチゴジャム派です。夕飯は、ラズベリージャム派です。」
セクシャル「……私、今がいちばん、パンしてるって感じ……」
バイシャル「それ、なんの意味?」
カゲツ「ウチら……もしかして、大成功しとるんちゃう?」
そして、みんながそろって玄関に立つ。
カゲツが言う。
「爆発は人生! パンツは運命! パンは美味しい!
それでも前を向くのがワイらの錬金術や!」
\\\ ――ドッカァァァァァァン!! ///
食パン係長「……え、なんか踏んだ?」
アンパン先生「……試薬の上に……トースターが……」
クロワッサン「わたしのバターが、炎上しているぅ!!」
爆風が舞う。屋根が飛ぶ。天使は転ぶ。
鍋は空を舞い、空飛ぶパンが歓声を上げる。
セクシャル「うわああああああ!?!?またやああああああ!!」
バイシャル「パンツーーーッ!?!?!?」
カゲツ「ハッハー!またゼロからやり直しやあああ!!」
焼け落ちた研究所の前で、
3人と8つのパンと、うっかり増えてたジャムパンたちが笑っていた。
失敗は終わりじゃない。
笑えるなら、それはもう、大成功や。
『1回の成功と999回の大失敗すれば成功やないの! 』〜ドジっ子双子天使と爆発ツッコミ錬金術師のポジティブ錬金ラボ〜
【いったん完結】
でも爆発は、また明日も必ず起こる。




