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【44万6千PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『1回の成功と999回の大失敗すれば成功やないの! 』〜ドジっ子双子天使と爆発ツッコミ錬金術師のポジティブ錬金ラボ〜
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第7話 天界からの職場監査官

その朝。

錬金ラボの入り口に、銀の羽根がひらひらと落ちてきた。


「誰か来たの……?」


「なんか……めっちゃ神々しいオーラ……」


「おいおい、神様来るにはウチらちょっとパンツ見えてる率高すぎへんか……?」


パタパタと飛んできた白い使い魔が巻き込むように風を起こし、

入り口のドアが開いた。


挿絵(By みてみん) 


「失礼します。天界監査部第六課、記録管理監督官補佐の――ルシル・エラステリアです」


現れたのは、

完璧な巻き髪と、天使のエンブレムが刺繍された純白の制服をまとった。

ガチガチの真面目系天使・ルシル。



「ひさしぶり……ルシル……」


セクシャルが青ざめる。


「セクシャル様、バイシャル様……長らくの無断堕天、誠に遺憾です」


「堕天に無断もなにもないよ……!」


「本日は貴殿らの生活実態および錬金術活動の調査を実施します!」


「お堅い……!! ガチで監査来た!!」


さっそく始まるラボ監査。

だが、そこは天使の常識が通じぬ混沌の実験の館。


×床がパンまみれ(昨日の実験の名残)

×棚の中から熊の毛皮と人格付きパンツが出土

×屋根の修理未完、空が丸見え

×壁には「実験で死なない方法ランキング」ポスター


「……えっ、なんですかこれ!?!?」

「こ、この作業環境は……完全に労働安全衛生法・天界版 第7条違反では!?」


「大丈夫や。パンに囲まれたら幸せになれるからな(錯乱)」


「私の常識が……ぐらつく……」


そして、とどめが。

セクシャルがボソッと指差した。


「……ルシル、あんたも……パンツ見えてるで……」


「えっ…………」


彼女のふわふわ制服、しゃがんだ拍子に

スカートがめくれて、見えてはいけない領域が全開。


「きゃあああああああ!?!?!?!?!?」

「ち、ちがっ! これは違……こ、これは監査中の事故であって……っ!!」


監査後半

×カゲツ、爆発音であいさつ(監査中)

×セクシャル、試薬でルシルの髪をピンクに(監査中)

×バイシャル、ルシルにうっかり「裸エプロンどぞ♡」(監査中)


結果

原点7 加点0

職場環境-7点

セクハラ・パワハラ・モラハラ・カスハラ(+ラボ爆発による物理的暴力)

あらゆる労働環境NG項目をコンプリート


「な……なぜこんな職場が地上で生き残っているのですか……!」


「ええ職場やからやで!」


「どこがですかぁぁぁぁあああ!!!」


「みんな、笑ってるやろ?」


ルシルがふと見渡す。

粉だらけ、火傷だらけ、パンツ全開。


それでもみんなが……

笑っている。


「……この人たち……ほんとにダメだけど……なんで……」


夕方。

報告書をぎゅっと握りしめたルシルは、報告書を破り捨てた。

そして、くしゃくしゃの笑顔で言った。


「……今回は、口頭注意にとどめておきます」


「え、ほんま!? 助かるぅ!」


「ですが……次の監査は、もっとちゃんと準備しておいてくださいね。

パンツも、スカートも……きちんと……(赤面)」


そして。


羽をふわりと舞わせながら、ルシルは帰っていった。


「また、来ても……いいですか?」


「いつでもな! パンと爆発、用意しとくでぇ!」


「やめてください!!」


空に浮かぶ天界の門が、彼女を迎えるように輝く。

ルシルはそっと呟いた。


「真面目に生きてるだけじゃ……心はきっと、きれいにならないのね」


そして、天界の制服の裾をちょっと気にしながら、笑った。


「……今度行くときは、もう少し……パンツ見えない服、着ていこうっと」


彼女の頬に浮かんだ笑顔は、

天界のどの監査報告書にも書かれることはなかった。


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