第4話 休日と森のくまさん
今日は、待ちに待った週に一度の休日!
「やったー! ついに実験ない日だぁ!」
「今日は絶対転ばないって決めたのに〜……あっ、転んだ……」
というわけで、爆発、錬金ラボを離れ、3人は森の中へピクニックにやって来ていた。
「なあなあ! 今日はバーベキューやるでぇー!」
「うわぁ~、外でごはんなんて久しぶりっ!」
「でも食材、どこで調達するんですか……?」
「決まっとる! 現地調達や!」
「えっ……まさかこの森で――!?」
薪を拾い、火起こしして、川で小魚ゲット。
山菜、キノコ(毒じゃない)を見分けながら、順調に進むバーベキュープロジェクト。
「やればできるじゃん、私たち……!」
「……今日は爆発ないかも……!」
そのときだった。
――ガサ……ガサガサ……
森の奥から現れたのは……巨大な影!
ガオオオオオゥ!!
「……く、熊だ……!」
バイシャルが震えながら指差す。
そこには立派な毛並みと筋肉を持つ、森の主級・熊さんが!
「ぎゃああああああああ!!!」
「ある日森の中熊さんに出会ったぁ~~じゃないってばあああああ!!」
「ちょ、逃げろっ!! 食べられるぅう!!」
だがそのとき、ナンバ・カゲツが冷静に鞄からキラキラした試薬の小瓶を取り出した。
「まかせとき。ウチには“クマ専用可愛くする薬(失敗作Ver.)”がある。」
「失敗作ぅ!? いやいやいやいや何それぇぇ!!?」
それを熊の鼻先にポイッ!
——ポフンッ!!
モヤが熊に包み込まれ……
次の瞬間、熊がちょっとチワワみたいな顔になった。
「なにこれ!?」
「目がクリクリで、ちょっと内股になってる!?」
「鳴き声が“ふぇぇ……”やんけ……!!」
結果。
熊さんは襲ってくるどころか、
小魚を運んできてくれたり、木の実を分けてくれたり、
丸太を持ってきてくれて、バーベキュー台の土台まで組んでくれた。
「めっちゃ働くやん熊さん!!」
「なんならセクシャルより気がきくかも……」
「うわーん! わたしだって焼きナスくらい裏返せるもんっ!!」
その日、森の中には、肉の焼ける音と、
クリクリお目めの熊さんと笑い声があふれていた。
カゲツは言った。
「人生とはな、偶然の連続や。つまり、熊とバーベキューするのも当然や!」
「意味わかんないけど……いい一日だったね……!」
「うん……パンツ見えなかったし!」
「それ今いる!?」
夕暮れ、熊さんに手を振って別れる頃。
セクシャルがこっそり耳打ちした。
「……あの熊さん、連れて帰っちゃダメかな?」
「だーめ!!!」
ガオオオオオゥ!!
薬がきれて、元の凶暴な森の熊さんに戻っていった。