第3話 セクシー天使と錬金制服
研究所の朝。
今日もラボには爆発音と謎の湯気が漂っていた。
「おいっすー! 今日はええもん届いとるでぇー!」
と、満面の笑みで段ボールを抱えるナンバ・カゲツ。
それは新しい錬金制服。しかし、開けてみると。
「…………ん?」
「……ちっちゃくない?」
「これ……下、どこいったん……?」
段ボールから取り出されたのは、超ミニスカートと、
やたらと透け感のあるフリルのシャツ、そしてエプロンだけだった。
「ちょっ……なにこれッ!!!」
「えっ、これ着るんですか!?!?」
「だって“露出多めの軽量化仕様”って書いてあったしな! ほら、夏モデルやし!」
セクシャルは顔を真っ赤にして制服を手に持つと、青ざめながら叫んだ。
「……わたし、なんで裸エプロンにされとるん……!?」
「バイシャル姉さん!このスカート、走ったら絶対お尻見えるよ!?」
「ちょっと待って!? パンツが戦場みたいになってるってばぁああ!!」
……にもかかわらず。
数分後、二人はその制服を着ていた。
なぜなら
火に包まれても、破れない。
水に濡れても、すぐ乾く。
爆発にも耐える(見た目以外)。
「……これ、意外と性能すごいよね」
「うん、爆風で吹き飛ばされても、下着だけは無事……」
「むしろそっちが恥ずかしいやんけぇ!」
カゲツがすかさずツッコむ。
「せやから今日はこの制服で、実験室温度調整試験いってみよか!」
そして始まったのが
水鉄砲・ラボ内で大戦争!!
「ふっふっふ、こちら防炎ミニスカ天使! 水の属性に強いぞー!」
「こっちはエプロン天使! お尻は見せても心は守るっ!!」
「うおおぉぉぉ! 水鉄砲乱射や!! 避けろぉお!!」
ラボ中を駆け回る天使姉妹と錬金術師。
試薬を冷やすための水筒、冷却魔法、さらにはホースまで引っ張り出して水合戦が勃発。
床が濡れ、天井からは謎のきのこがまた生え、研究所は再び水没状態に。
そして。
冷たい水を浴びて制服がぴったりと肌に張りつくと、
セクシャルが小声で呟いた。
「……でも、なんか、ちょっとだけ、自由かも……?」
バイシャルも、苦笑いしながら言う。
「そうだね……もう、どうせパンツ見られてもいいか……」
「いやええんかい!!!」
カゲツのツッコミが響く中、夕日が射す研究所で、
今日も3人は笑っていた。
爆発もない。
成功もない。
でも、暑い夏を乗り切るための最強(?)制服は手に入った。
制服か羞恥心か?
……いや、世界を救うのは、裸エプロンなのかもしれない。
ラボも水で少しだけきれいになった、かもしれない。