第11話 デス・エンンジェル、世界ツアー開始
―氷よ、割れろ。眠れ、古代。そして観客、耐えろ。―
【北極の極寒の地にて】
極北の氷原に築かれた、氷晶大帝国ステージ《ブリザドーム》。
気温マイナス82℃。観客席は氷漬けの古代魔物たち。
だが彼らは、この日を待っていた。
「破壊と眠りのデュエットが、氷の封印を破る」
……そう伝わる、氷魔族の預言書。
新曲の歌詞:「愛は凍死と闘志と透視」
(イントロ:氷原が共鳴し、ペンギンが集団失神)
オンチリーナ:
♪ こおぉ〜るぅぅるぅる〜〜(語尾が寒すぎて聞こえない)
さむ〜い夜にぃ あなたを透視ぃぃぃぃぃ……(鼻息)♪
フェーフェー:
♪フゥゥオオアアアアアアアッッッ!!!!(訳:服着ろ!)
(※ステージ氷床が震えて割れる)
ふたり:
♪ こおる愛が〜〜 しみこむよぉぉ〜〜 どこまでも〜 透けていくぅ〜〜〜〜(滑舌消滅)
けどおぉ〜〜 うちらは〜 凍死寸前ッ!!
(※マイクが氷柱になる)
オンチリーナ:
♪ きみのぉ……ぬくもりで……(ハッ) ……Zzz…
(※2番で寝るな)
フェーフェー:
♪フゥオアアアアアアアアッッ!!!(訳:起きてェェェッ!!!)
(※会場中の氷柱が粉砕)
ふたり:
♪ とぉ〜しを超えぇ〜 とうしで立ちぃ〜
とうし(透視)で見抜けぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!(※何を?)
【ライブ効果】
氷の下に眠っていた古代魔物たちが順番に覚醒。
「ああ……これぞ破壊と眠り……バランスが絶妙……」
「氷が破壊され仲間がどんどん復活していく」
氷原、ライブ終了とともに温暖化反転→猛吹雪へ
【マリの戦慄日記より】
「地球温暖化の唯一の対抗策が音痴ライブになるとは思いませんでした」
「今日は観客5000体中、生還者88体。高すぎる。次は絞ってくれ」
「このままじゃ“音痴クライメートアクション”として国連が動きます」
デスエンジェルの勢いは止まらない。世界ツアーは大成功を収めた。
そしてマリはお金を数えることを止めた。




