第9話 アイドルオーディション in 地上界
【魔界代表、地上界へ】
「フゥオアアアアアッ!!!(訳:地上でもライブできるってよおお!!)」
地上のテレビ局《第六音響波放送》から届いた一通の封筒。
その中には、全界共通のビッグイベント
『第999回 地上界スーパーアイドルオーディション』招待状
審査項目
・歌唱力
・パフォーマンス力
・耐音波性(ステージ崩壊対策)
・ファンの生存率
マリ「……ファンの生存率って何ですか、これ」
フェーフェー「フゥォア!(訳:私のための舞台じゃん!)」
オーヤンフェーフェーとマリは人間界に魔界からの逆デビューの準備を始めた。
会場:地上界・音波シェルター付きドームアリーナ
鉄壁の防音扉、音響耐震装置、避難用ヘルメット支給完備。
地上アイドルファン「今回は魔界からの刺客が来るって!?」
防災隊「観客の耳栓は義務です!会場内に“感動”は存在しません、覚悟してください!」
登場したのは、真っ白な羽根を持つ天使アイドル
その名も、《オンチリーナ=スヤリス》。
天界でも“伝説の音痴”と呼ばれ、歌えば眠れぬ者も寝落ちする奇跡の声。
司会「さあ今宵は、“究極の音痴対決”でありますッッ!!」
第1ラウンド:開戦
オンチリーナ、白いステージに立つと、
透明感ある声でこう囁く。
「♪あ゛〜〜ああ〜ああ゛あぁ〜〜……(訳:あなたを眠らせたい)」
ズゥゥゥゥン……ッ!!
観客「う……ぐぅ……Zzz……」
審査員「意識が……沈む……!」
マリ「これ……歌というより、集団催眠……!」
第2ラウンド:フェーフェー出陣
「フゥオアアアアアアアアッッッ!!!(訳:寝かせるな!!起きろおおおお!!)」
ズガァアアアンッッ!!!!!
ステージの床が大破。
ドームの防音壁がバリッとひび割れる。
観客「うおおおお!? 耳栓しててもビリビリする!!」
審査員「……目が覚めた……けど鼓膜が……!!」
マリ「今、地上の防災システムが“音楽”に敗北した瞬間です……」
そして、ファン生存率勝負へ!
オンチリーナ:観客の9割が寝落ち。癒しと窒息が紙一重。
フェーフェー:観客の7割が昏倒。だが3割が“肩こり治った”と歓喜。
審査員「むむっ、これは…… どっちも甲乙つけがたい被害!!」
マリ「被害って言ったな今!?」
最終審査:“耐えきったファンの声”
生き残ったファンたちが、それぞれに一言ずつ叫んだ!
フェーフェー派ファン「……腰の痛みが……なくなってる!?神!!」
オンチリーナ派ファン「……今までの不眠症が……終わった……ありがとう……Zzz」
両方耐えたファン「俺の耳は……もう使い物にならない……でも幸せ……!」
司会「これは……アイドルとは“生き様”だ!!」
審査員「よって……両者合格!!」
そして異次元デビュー決定!
オンチリーナ「フェーフェーさん……一緒にデュエット、してみませんか……?」
フェーフェー「フゥオアアア!?(訳:夢の共演!?)」
マリ「……共演曲名、《爆睡破壊ノクターン》……ああもう絶対にライブ会場足りない……」
この音痴デュエット結成は覚醒か、昏睡か、それとも崩壊か。人類 魔人類の滅亡へとつながる一歩だった。