第7話 魔将軍、フェーフェーをプロデュース?
火山王子からの熱烈プロポーズを“溶岩大脱出”で断ったフェーフェー。
次なるツアー地に待っていたのは、音楽ではなく軍事利用音楽。
しかも、彼女を「破壊系アイドル」として売り出そうとする魔将軍が現れる。
魔界南方・重装要塞“ドレッドノート”にて
巨大な鉄の要塞。
そこに現れたのは、黒いマントに軍帽を被った筋骨隆々の魔族。
「我が名はグラムド=ハンマークロウ将軍。この魔界に“音の戦力”を導入する責任者だ」
魔将軍の企画書
軍楽隊による新企画
【プロジェクト名】破壊系アイドル・ユニット結成計画
【ユニット名】「D4:Destroy Diva Devil Death」
【メンバー構成】
・センター:オーヤン・フェーフェー
・副将(指揮官):将軍直属軍楽隊(全員武装)
・ビジュアル担当:軍事ゴーレム3体
【活動内容】
・週7日ライブ/うち5日軍事演習
・CDはチタン鋳造(音質は悪い)
・サイン会は実弾訓練と併設
マリ「ちょっと待ってください。これは“音楽活動”じゃなくて軍事動員計画です!!」
グラムド将軍「芸能と戦争に差はない。我が軍においてはどちらも“士気高揚手段”だ」
マリ「……契約書、確認させていただきます」
※分厚い革表紙、魔界語でびっしり書かれた“永年契約書”が差し出される。
◆契約書の地獄ポイント
有効期間:死亡後も継続
出演料:軍糧3.5個(月)+爆薬手当
途中解約金:国境を越えたら爆発する首輪
音程ミス:即時営倉送り
マリ「これは……奴隷契約です。一度サインしたら、死んでも解約できませんよ。むしろ死んだ後が本番です」
「フゥオアアアアアッ!!!(訳:私、歌いたいだけなんだけど!!!)」
そう叫ぶと同時に、持っていた契約書がデスボイスで木っ端微塵に。
グラムド将軍「ほう……今の声……完璧だ……!あれこそ、“破壊系アイドル”の理想像……!」
「将軍。あなたの戦力計画、“アーティストとの合意形成”という基本が欠けています」
マリは一枚の紙を取り出す。
「こちらが我々の提示する“芸能活動契約書”です。条件は“週2回ライブ・自由衣装・報酬前払い・破壊保険付き”。 応じなければ、あなたの軍、“世界に向けてブラック企業認定”されます」
将軍「貴様……地味に怖いぞ……」
怒りのグラムド将軍、「ならば力で従わせる!」と軍楽隊を動員。
だが
「フゥオアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」
フェーフェー、ステージで咆哮。
その一声で軍楽隊の楽器が全て粉砕される。
後日談
グラムド将軍「……あの声、やはり戦力としてほしかった……」
副官「将軍、軍楽隊が再起不能です。今後の演習、どうしますか?」
将軍「……我が声で鼓舞するしかあるまい。ア”ァ”ァ”ア”ア”ア”ッッ!!!!」
副官「……将軍、全員倒れました」
「……ライブは楽しいからやるものです。働かされて死ぬまでって、それはブラック企業でなく、地獄です」
フェーフェー「フゥオアアアア(訳:アイドルって大変すぎない!?)」
魔将軍はフェーフェーをアイドルとしてだまして、ただ軍の兵器として利用したかっただけだった。