第6話 火山王子、婚約と結婚を申し込む
魔界の危険地帯“地響きの谷”でデスライブを敢行し、巨大音獣を昏倒させたフェーフェーとマリ。
マリの淡い恋は余震とともに過ぎ去り、ツアーは再び次の地へ。
しかしそこに、ついに、本命のあの男が現れた。
魔界・灼熱王国バルカナリアからの招待状
ある朝、楽屋のテーブルに一通の封筒が届いた。
差出人:火山王子 カエン=バルカン王子陛下
内容はこうだった:
【我が王国と貴女の未来を繋ぐ、灼熱の契りを結びたい。
フェーフェーよ、私と結婚してくれ!
挙式は王国の神聖なる“大火口”にて行う予定である。
祝福の溶岩シャワーと共に、永遠の愛を誓おう】
フェーフェー「フゥ……フゥオア……(訳:読んでるだけで暑い)」
マリ「……危険度Sクラス案件ですね。火口って、結婚式場じゃなくて“地獄の入口”ですよ?」
現地視察:バルカナリア王国・王室火口ドーム
一行は渋々、招待に応じて現地へ。
ドーム中央には巨大なマグマの湖。
溶岩の橋の上に、真紅のスーツに身を包んだカエン王子が立っていた。
「よく来てくれたな、愛しき我が嫁よ!! この火山は我が愛の象徴ッ!!熱き魂が、溶け合う場所だッ!!」
フェーフェー「フゥオアアア(訳:うわあああああ!!)」
マリ「これは……感動ではなく“逃走の雄叫びです」
婚約プラン(地獄式)《カエン王子の提案内容》
結婚式は火山口中央にて、マグマ噴出時に誓いのキス
祝福の儀:フェーフェーのドレスを“火の鳥の羽根”で燃やす
招待客:火山神族、灼熱スライム、溶鉱炉技師団など400名
ウェディングケーキ:マグマで焼いた“火山石ケーキ”(硬度10)
マリ「このケーキ、食べたら歯が粉砕されますね……」
火口デート:命の危機
「フゥオア!?(訳:これデートっていうか、修行!?)」
デートと言いつつ、溶岩の湯気と灼熱の石畳を踏みしめるフェーフェー。
暑さで地面が歪んで見え、頭がぼうっとしてくる。
「この熱さこそが、愛なのだ!!」
「フゥ……フゥォオオアアア(訳:いや、純粋に死ぬ)」
王子「では、さあ!指輪の交換をしよう!マグマに沈めてから取り出すのが伝統だ!」
フェーフェー「フゥアアアアアアッッッ!!!!(訳:ムリムリムリムリ!!!!)」
ドゴォオオッ!!!
フェーフェー、咄嗟にデスボイスで橋を吹き飛ばし、火口を隔てて大ジャンプで逃亡。
「フゥオオオオオアアアアアアッ!!!(訳:火山性活なんてムリィィィィ!!!)」
マリ「はい、式場破壊完了。王国からは訴訟と感謝が同時に届く予定です」
王子、溶岩の中でうつむく。
「……恋とは、熱すぎても冷めてしまうのか……」
火山神「陛下、また振られましたね」
王子「うるさい!!マグマで身を清めてくる!!」
マリ「次、氷の王子から招待状届いてますけど、行きますか?」
フェーフェー「フゥ……フゥオ……(訳:温度差激しすぎる)」
恋は熱しやすく冷めやすいと感じたフェーフェーであった。
暑苦しい恋はもう勘弁です。