表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【44万6千PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『眠り姫ベルモットの寝ながら子育て?できるわけがない、さっちゃんとバクちゃんの育児奮闘記』
276/1101

第10話 保育園参観日でさっちゃん、保護者席で無言の圧、陰口に仁義なしッ!

明日は参観日ですので、保護者の皆様は朝10時までに園にお越しください」


保育園からきたプリントを読んださっちゃんが呟く。


「参観日……まあ、問題ないわね」


ベルモットは当然、その場で寝たままプリントを鼻に貼って爆睡中。


バクちゃん「寝てるし行くの、お前しかいないやつだろ」



【当日・魔界ひよこ保育園 地獄分園】

参観日ということで、ホールには多くの保護者が集まっていた。

そこに姿を現したのは


ピンクのワンピース、ランドセル、ツノ、そして鋭い目つき。


「ダイ・マオウの保護者代理、姐さんこと“さっちゃん”入ります!」



保護者ざわ…ざわ…

「な、なんか来た……」

「ってかあれママ?どう見ても小学生……」

「ツノが威圧的……いやあれ、威圧じゃない、威厳だ……!」


保護者席で静かに座るさっちゃん。

だがその姿から放たれる“無言の圧”は、教師陣も引くレベル。


最初のプログラムは「みんなでできるかけ算ゲーム」


先生「はい、では次〜! マオウくん、前に出て〜!」


マオウくん(浮遊しながら前へ)


先生「3×3は?」


マオウ「9と思わせて罠だな。答えはルート3乗だ。1.7320508075」


「正解は……9だね〜」


マオウ《あ、ごめん、脳波ちょっとズレた》


保護者席、ざわつく。


「えーあれで魔王の息子ぉ〜?」

「ちょっとズレてない?」

「態度悪くなーい?」


そのとき

 

“ギギギギ”


ツノがきしむ音。

保護者席で、静かに湯気を立てる少女(?)がいた。

さっちゃん(無言で立ち上がり、保護者たちを見回す)


「……陰口って……こどもに聞こえるのよ」


全員、凍りつく。


「魔王の息子にだって失敗はある。でもそれを笑うようなヤツは教育者でも保護者でも、道を外れてんのよ」


ざわざわ……いや、もうシン……と静まり返るホール。


保育士(震え声)「さ、さっちゃんさん……落ち着いて……?」


さっちゃん「落ち着いてるわよ。普段の1/10以下の仁義モードよ」


バクちゃん(天井から逆さに覗きながら)

「それでも普通のヤツには、地獄より怖ぇんだよなァ……」


その後、マオウくんは得意の浮遊&超能力で

・絵画競技→筆を念力で操り“炎の寝顔ママ”を描いて優勝

・工作→段ボールで空中要塞を作り園を封鎖しそうになり表彰(※表彰理由:発想が魔界的)


保護者「す、すごいわ……魔王の血筋、バケモノ……」

さっちゃん「ふふん♪ わかればよろしい」


その日の帰り道。


マオウくん《姐さん、ありがとう。あのとき……ちょっと泣きそうだった》


さっちゃん「泣きそう? 泣いたら抱っこしてあげたのに。……ま、あたしも……ちょっとだけ、グッと来てたわよ」


マオウくんがふわっと浮かびながらくすぐったそうに笑った。


そしてベルモットは帰宅後、布団の中で寝ながら一言。

「……参観……すやすや……さっちゃんママこわい……けどすき……」


バクちゃん「寝てても情報入ってくるの怖いわ……」


魔界の保育参観は、教育と仁義が交錯する、仁義なき戦場だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ