第7話 マオウくん、保育園の運動会で魔界記録樹立!? それが魔界の常識です
ここは魔界「ひよこ保育園・地獄分園」。
今日は年に一度の“ひよこたちの地獄大運動会*の開催日!
炎のトラック、空中リレー、次元障害物競走など、地獄らしい種目が並ぶ中、
今年一番の話題は
「赤組団長、さっちゃん姐さんがやるってよ……」
「優勝確定じゃん……」
「てか血が流れなきゃいいけど……」
さっちゃん、赤組団長に選出!!
「おいコラ白組ィィ!勝ちたいなら命張れやァァ!!!」
気合いバリバリで睨みを利かせながら、赤組の子どもたちを一列に並ばせるさっちゃん。
「えっと、運動会って“楽しく”やるんじゃ……」と保育士が言うも、
「勝ってから言いな!!」で一蹴。
そして現れた、“最終兵器”。
「赤組・第六走者……マオウくん!!」
小さな体、銀髪くるくる・赤い目・いつもぴくぴく動く小さな角。
でも次の瞬間、
「位置について ヨーイ……ドン!」
速攻で空を飛んだ。
《超速飛行魔法・ちょい浮きVer.☆》
トラックの上を完全無音で滑走するマオウくん。
一瞬でゴールテープを切った。
「……今の、何秒?」
「えっと……3.3秒……!?魔界記録更新……っ!?」
続く競技:玉入れ
マオウくん、《玉→超小型ブラックホール》《かご→逆時空ホール》の超能力チートで、魔界中の赤い玉を集めまくる。若干ちがう赤い玉もあり...
結果:白組:42個
赤組(マオウくん1人):56万個(空間が崩壊しかける)
さっちゃん「いやそれはやりすぎよバブ!!!!」
観客席のベルモットは、ふわふわ毛布にくるまれたまま、寝たまま薄く微笑む。
「……いいのよ……それが魔界の常識……」
さっちゃん「寝てるのにコメントだけ一丁前かよ!!!!」
そして昼休憩。
先生「それでは、お昼寝タイムに入りまーす」
赤白両組の子どもたちがそれぞれの保護者のもとへ戻る中
マオウくんは当然、ベルモットの布団の中へ。
すぅ……と静かに潜り込んで……
「ママ……いっしょに……」
ベルモットは目を閉じたまま、ふんわりと抱きしめて囁く。
「……お昼寝は……ママと一緒に……ねんねしましょ……」
その姿に、保護者席がざわつく。
「……寝たまま完璧な母親してる……」
「寝ながら“理想の育児”を体現してる……」
「むしろあれが“魔王の母”ってやつか……」
さっちゃんはその光景を見ながら、アイスティー片手にぼそり。
「結果的に……なんか勝てないわあれには……」
バクちゃんも隣でうなずいた。
「夢と現実のハイブリッド……最強ママかもな……」
そのころ白組保護者は言っていた。
「来年、あの家族は禁止でよくない?」
その後もマオウくんは記録を塗り替えまくり、
赤組は当然のように圧勝。
閉会式ではさっちゃんが壇上でこう叫んだ。
「今年の優勝はァァァ!! 赤組ィィィ!!!!!!」
ヒューーーーバッン!☆ バッン!☆ バッン! ☆ バッン!☆
その声に合わせて、爆発音とともに打ち上がる魔界の花火
だがその瞬間。
「……うるさいわね、寝れないし、ご近所迷惑!……花火は本日かぎりで中止!……常識ないわね!」
ベルモットの寝言一発で会場が静まり返ったという。
(お前が言うな!)っと保護者全員が言ったとか言わなかったとか、