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【47万6千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『眠り姫ベルモットの寝ながら子育て?できるわけがない、さっちゃんとバクちゃんの育児奮闘記』

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第4話 眠り姫の夢育児アドバイス

場所:ベルモット・ネクロデス邸。

今日も世界のどこかでは戦争が起こり、魔界では不穏な気配が漂い、人間界ではバクちゃんの保育士不合格通知が届いていた。


だが、ここだけは


しん……と、静か。


ふかふかの暗黒羽毛布団の中で、ベルモットは今日もすやすや熟睡中。


バクちゃんは座布団の上で胡坐をかき、さっちゃんはアイスコーヒー片手にふんぞり返っていた。


「ねぇ、バクちゃん。あたし、最近ちょっと悩んでるんだけど」


「ん?マオウ君の夜泣きがまた始まったとか?」


「違うわよ。このままあたしたちが育児代行し続けてていいのかって話よ。

 この家の名義上の“ママ”はあのクソ眠り姫なんだから、教育方針くらい聞いとくべきじゃない?」


「……無理じゃね? だって寝てるし。聞いても“……アイスとけた……”とかしか返ってこないよ?」


「でも夢の中ならいけるかも。」


というわけで、バクちゃんが夢魔としての本領を発揮し、

さっちゃんを“ベルモットの夢”に引きずり込む作戦が決行された。


夢の中へ夢の中へ行ってみたいと思いませんか~うふふふ



{夢の中}_____________________


「……え、これが……?」


夢の世界はふわふわとした空中庭園のような場所。巨大なクッションの上で、ベルモットが寝たまま紅茶を飲んでいた。


「うふふ……さっちゃん……夢に来たの……?アイス……?」


「やべぇ、喋ってる!寝ながら普通に喋ってる!」


夢の中のベルモットは微笑んだまま、夢の紅茶を飲み干し、静かに言った。


「子育てに大事なのは……“間”よ……」


「は?ま?“あいだ”ってなに?何の?」


「“寝る時間”と“構う時間”の“間”……

 “褒める”と“叱る”の“間”……

 “愛情”と“放任”の“間”……」


「急に名言っぽいこと言い出したな!?どうしたお前寝ながら人格変わってんじゃん!!」


夢の中のベルモットは続ける。


「でもね……一番大事なのは……子どもが“寝ている大人を見て育つ”ってこと……」


「……は?つまり?」


「寝ることの大切さを、わたしは背中で……いや、背中向けたままで寝て教えてるのよ……ふふ……すや……」


そのまま、ベルモットは夢の中で再び深い眠りに落ちていった。


夢の空間がゆっくりと崩れていく。

バクちゃんがぽつりと呟いた。


「……あれ、もしかしてすごい育児論なのか……?」


「いや……寝ながら教えるのが教育って言い張るのはやべえだろ……でもちょっと納得しかけた自分がいるのが悔しい……」


現実へ現実へ戻りたくないけど現実へ~ウフフ

__________________________________



現実に戻ると、マオウくんがさっちゃんの袖をつまんでいた。


◇テレバシー(脳に直接話しかける)◇

《姐さん。さっきの話聞いて、今日の姐さん、ちょっと“母親み”あったぜ……》


「やめろ気色悪い言い方すんな」


バクちゃんはホワイトボードに「ベルモット式育児理論」と書きはじめた。


・基本は寝る

・たまに夢で助言

・とにかく寝る

・だいたい寝れば何とかなる


さっちゃんはそれを見て、ため息をついた。


「……まあ、寝てるわりには、案外すごいこと言ってたのかもね」

 

そしてそのころ

ベルモットは布団の中で、にこにこと寝ながら言った。


「……みんなが動いてくれるから……あたし……一生寝てられる……働いたら負け最高……」


眠り姫、アドバイスはしたけど、育児労働のやる気はゼロ。



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