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【44万6千PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『眠り姫ベルモットの寝ながら子育て?できるわけがない、さっちゃんとバクちゃんの育児奮闘記』
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第2話 超能力ベビー ダイ・マオウくん

挿絵(By みてみん)

ダイ・マオウ君

銀髪くるくる・赤い目・いつもぴくぴく動く小さな角。

ツノからピリピリとした魔力が漏れている。

おしゃぶり付きローブ、よだれかけに「魔王」と刺繍されている。

移動はほぼ浮遊(床をハイハイしない)。


生まれながらにして、異常な魔力と超能力を持つ。


■サイコキネシス(念動力)

 玩具・家具・大人を無造作に浮かせてぶん回す。

■テレパシー

 言葉を話す前から、頭に直接話しかけてくる(声はめちゃくちゃ落ち着いてる)。

睡眠同調ドリームリンク

 ベルモットが寝ると強制的に周囲の人間も眠くなる。

 逆にマオウ君が泣くと、ベルモットの眠りが浅くなり、“寝言で攻撃魔法”が出ることも。

■召喚魔術(偶発的)

 くしゃみひとつで低級悪魔を召喚してしまうことがある。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


魔界・ベルモットの寝室。今日も姫は爆睡中。だが、その横で


「うおおおおおおっ!!また浮いたあああああああ!!」


バクちゃんが天井に張り付いていた。見えない力によってぐるんぐるんと回転中。

その下で、ふよふよと浮かぶひとりの赤ちゃん。


銀髪、赤い目、ちっちゃなツノ、口元にはミルク垂れ。

しかし目は


完全に悟っていた。


 「……おい、テメー。またやったなマオウ……」


現れたのは、さっちゃん。今日も角付きツインテ・ピンクのワンピース・ランドセル装備。

だがその目はギラリと鋭い。


「いい加減にしな、マオウくん。そろそろ“しつけ”ってもんを覚えな」


マオウ君は無言のまま、じーっとさっちゃんを見上げた。


次の瞬間


ガタン!


さっちゃんのランドセルが勝手に浮いた!


「んだと……? テメー、姐さんの背中を狙ったかァ?」


さっちゃんの声が低くなる。


マオウくん、まだ言葉を話せない。

だが、その頭の中に、ズン……と響く低い声が流れ込んできた。


◇テレパシー(頭に直接話しかけてくる)◇

《……姐さんの背中が無防備だったから、つい》

《礼儀がなってなくて……すまねぇ》


その瞬間、さっちゃんの表情がピクリと動いた。


「……なんで、アンタ、あたしのこと“姐さん”呼びしてんのよ」


マオウくん、ふらりと浮遊し、棚の上のさかずきをテレキネシスでひとつ持ち上げる。


《姐さん、忘れたのかい? あの日、夢の中でおれらは》


■回想。


数日前、ベルモットの夢の中で。

さっちゃんとマオウくんが、ちゃぶ台の前で正座していた。


「いいかマオウ、魔界で生きるにはスジってもんがあんの。スジ通さなきゃ誰もついてこねえ」


《スジ……姐さん、それが“任侠”ってやつかい?》


「そうだよ。それさえ忘れなきゃ、どんなに泣こうが屁ここうが一人前だ」


二人は夢の中で盃を交わしていた。魔界式の“義兄弟契約”である。


《だからオレァ、姐さんにゃ逆らえねぇ。手加減してるだけなんだぜ?》


現実に戻る。


「……マジで交わしてたの?盃」


さっちゃんは額を押さえながらため息をつく。


「てか、誰が任侠教育したのよ……夢の中で。……ああ、あの眠り姫か。ろくでもないわ」


そのとき、ベルモットが寝言をつぶやいた。


「……夢にね……極道のおじさまがね……かわいくて……」


「オメーか!!!」


バクちゃんがようやく床に降り立ったが、頭から布団をかぶって倒れた。


「もうダメだ……この家、常識が機能してねえ……」


しかし、マオウくんはにっこりと微笑んだ。


ふわりと宙を舞い、さっちゃんの肩にちょこんと乗り、

テレパシーで脳内でひと言だけ


《姐さん、次は組のしきたり、教えてくれよな》


「……いいよ。まずはオムツ替えを“耐えて”からな。そこからが任侠の一歩よ、バブ野郎」


今日もベルモット家は寝息と超能力と任侠精神が渦巻く。


「オカシな家だよ。ベルモット家」さっちゃんがツッコんだ。


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