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【45万2千PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『竜騎士のミッシェル姫と雪国の剣士お雪の天罰 成敗!時々 くノ一楓(かえで)』
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第9話 悪代官バクザンの復活と大エイドの危機

闇に蠢く鉄の音、魔導炉の心臓が不気味な脈動を刻む。


ゆっくりと、重い鉄の扉が軋み、現れたのは


かつて、お雪の手によって斬られ、世を去ったはずの悪代官・バクザン。

だが今、彼は魔導と鋼の力によって、サイボーグとして甦っていた。


かつての醜く肥え太った身体は、今や黒金の鋼鉄で覆われ、

片目には魔導レンズ、口元は半ば焼け落ちたままの歪んだ笑み。

人でも鬼でもなく、まさに“怨念の塊”としてそこに立っていた。


そしてその歯噛みのような声は、真っ先にこう呟いた。


挿絵(By みてみん)


「……お雪……ッ」


「わしの人生は、貴様によってすべて壊されたのじゃ……」


呻くように、低く、重く、呪詛のような言葉が吐き出される。


「わしがどれほど苦労して、あの地位にまで登り詰めたか、知っておるか……?

寒村で生まれ、泥水をすすって生きてきたわしが、

やっとのことで代官の座に就き、女も金も思いのまま。ようやく“勝ち組”になれたというのに……」

 

「それを、だ……」


目がぎらつく。執念の光。


「貴様が現れ、たった一太刀で、わしのすべてを奪いやがったッッ!!」


お雪が彼を斬ったのは数年前。

民の声に耳を塞ぎ、賄賂と拷問、重税で人々を虐げていた男

それがバクザンだった。

だが本人にとって、それは“正当な支配”だったのだ。


「村の連中が飢えようが死のうが、わしの知ったことではなかったわッ!

何故ならそれが“支配する者”の特権だからじゃァッ!!」


「それを、“正義”だか“義”だか知らんが、貴様は突然現れて、斬り捨てた……何の裁きもなく、いきなりじゃッ!!」


「あの日の雪の冷たさを、わしは今でも忘れぬ……ッ!」

歯を食いしばりながら、震えるように叫ぶ。


「民どもが喜びに沸いているのを、屋敷の瓦礫の中から、わしは見ていた……!

わしの首が晒され、子どもたちが雪玉を投げて笑っていた……!

何が正義だ……!? 貴様のやったことは、わしを地獄に突き落としただけだ!!」


「恥だ!! すべてを失ったわしの、この惨めさが分かるか!?屋敷も金も女も、誇りも、名も、なにもかも奪われた……」


魔導サイボーグの身体の奥で、魔核炉が赤く燃え上がる。


「だからわしは、地の底から這い上がったのじゃ。鋼の体を得て、魔導を得て、復讐のためだけにッ!!」


「お雪よ……」


その名を、まるで呪いのように繰り返す。


「貴様だけは、絶対に許さぬッッ!!今度は、貴様の“正義”とやらを、この手でズタズタに切り裂いてやる……!貴様が守ろうとするものをすべて焼き払い、泣き叫ばせ、その冷たい面を、地に這わせてやるのじゃああああああああああッ!!」

 

バクザンの狂気と怨念が、大エイドに迫る。


ミッシェル、お雪、楓の3人は、その歪んだ“逆恨み”と対峙することになる。


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