第6話 『お雪、花街へ行く!? 潜入任務と初めての化粧』
夜の歓楽街の吉原・華街
艶やかな灯がゆらめくその裏側で、
三日連続で芸妓の“神隠し”が起きていた。
「わたくしの華麗な直感が告げていますわ。これは絶対、“妖艶の者たちの仕業”ですわね!」
と、張り切るミッシェル姫。
「……ああいう場所、苦手なんだけどな」
と、顔をしかめるお雪。
「ふふっ、似合いそうだけどね~。ねぇ、お雪ちゃん、ちょっと着物合わせてみる?」
と、ニヤニヤが止まらない楓。
その結果
「この姿で触れたら、斬る」
そこには、花魁姿のお雪がいた。
高いかんざし、紅の口紅、真紅の打掛
それでも鋭い目つきはまったく変わらず、
歩くたびに腰の刀がギラリと光る。
「す、すごい……さすが雪国の氷の花……!」
「っていうか、武装しすぎじゃない? 帯刀花魁ってどんな職業……?」
楓は呆れ、ミッシェルは拍手喝采。
ミッシェル姫は“仲居”として潜入。
「お茶をお持ちしましたわ~!(何故、わたくしが!)」
という心の声を抑えつつ、お姫様なのに仲居ムーブを全力でこなす。
そして楓は、“艶忍び”として自由に動きつつ、
華街の裏路地で奇妙な情報を掴む。
「怪しいわね。芸妓たちの失踪、共通点は“梅屋”って店だけ」
「そこの女将が最近、急に太ったとか、ゲコッて笑うとか……」
「……ゲコッ?」
夜。花街の裏手にある廃れた梅屋。
ふすまの奥、三味線の音が突然止む。
ギギ……と音を立て、現れたのは
異様な姿の巨大カエル。
カエル女将 小梅太夫。(妖怪)
白粉が割れてはがれ、緑の肌が覗く。
舌をベローンと伸ばしながら、芸妓の帯を巻き取り、
口の中に吸い込もうとしていた。
「待ってましたわよ、化け蛙!この美しき正義の仲居が成敗してさしあげますわ!」
ミッシェルがテーブルを蹴飛ばして登場。
「……飲み込む前に斬る。間に合うかどうか、試してみる?」
お雪が妖艶な衣を翻しながら斬りかかる。
「私の出番、ちょっと待って~!」
楓が天井から逆さに現れ、カエルの舌を布で縛り上げる!
戦いの中、小梅太夫の身体から霧のように“妖気”が抜けていく。
「この街は、綺麗で……寂しいのよ……
誰かの“執着”が、妖を呼ぶの。
芸妓たちは、私が寂しさを埋めたかっただけ……」
ミッシェルがそっと手を差し出す。
「寂しさも、心の傷も、わたくしがお茶で癒してさしあげますわ。……毒味はなしで」
「……次に暴走したら、遠慮なく斬るぞ」
お雪は背を向けつつも、ほんの少し、口元が緩む。
「さてさて、次は誰にドレスアップさせようかな~♪」
楓はすでに新たなターゲット(=ミッシェル)に視線を向けていた。