第4話 忍者村壊滅!?楓の過去と禁術の夜
夜明け前。
ゼロ部隊本部に届いた密書には、赤く滲む文字でこう記されていた。
「“忍者の風ノ里”壊滅。生存者、数名。犯人、“黒面衆”の名を名乗る。」
その場にいた楓の顔から、表情が消えた。
「……ちょっと、ひとりにしてくれる?」
そう言い残し、彼女はふらりと姿を消した。
◆◆◆
忍びの隠れ里、風ノ里。
それは、山深くに存在する楓の故郷であり、数多の忍術を継承してきた地。
そこが、なぜ壊滅したのか。
真相を確かめるため、楓は単独で向かおうとしていた。
だが
「お待ちなさい!」
森の入り口に、ミッシェルが現れた。
その顔には、いつもの余裕はなかった。
「あなた、また1人で抱え込もうとしているんですの?」
「……これは私の過去。巻き込むつもりはないよ」
ミッシェルは唇を噛み、迷った末に口を開いた。
「でも、あなたが私を仲間と呼んでくれるなら……私も、あなたの過去に立ち入りたいのですわ」
そこに、音もなくお雪が現れた。
「1人で行っても、勝てないよ。忍者ならわかるはず」
「……お雪まで?」
「仲間。私、言葉少ないけど……一緒に戦いたいと思ってる」
楓はほんの一瞬、顔をそらして言った。
「……勝手についてくれば?」
「承知しましたわっ!」
「……うるさい」
■■■
風ノ里の廃墟には、黒煙の残り香と、瓦礫の下にかすかに光る爆符の跡。
「爆裂術……“黒面衆”の、禁術印だ」
そう呟いた楓の目が鋭く光る。
するとそのとき
「久しぶりね、楓」
声の主は、木々の間から現れた女。
仮面の奥から金の瞳が覗く。
その手には、かつて楓が持っていた封印の書。
「……“ツユメ”? あんたが、裏切ったの?」
「裏切ったんじゃない。選んだの。“忍び”に未来なんてないって気づいたから」
「……!」
黒面衆との戦闘が始まる。
大量の忍者衆による、手裏剣、幻術、毒霧
次々と襲いかかる敵に、三人は背中を預け合いながら応戦する。
楓が毒霧をかき分けて叫ぶ。
「お雪、左上!」
お雪が間髪入れずに刀を投げる。
敵が落ちた瞬間、ミッシェルがジャンプして槍でとどめ。
「“背中を預ける”って……こういうことだったんですのね!」
「……うん。悪くない」
だがその瞬間、ツユメが楓の前に現れる。
「私は楓を殺すために黒面衆に入った」
「……なら、私はあなたを止めるためにここに立つ」
楓とツユメとの運命の死闘が今まさに始まろうとしていた。