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【44万6千PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『竜騎士のミッシェル姫と雪国の剣士お雪の天罰 成敗!時々 くノ一楓(かえで)』
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第2話 温泉旅館に潜む怪盗団

南の温泉郷、ウルルの里。

山のふもとにある静かな宿場町だったはずなのだが。


「また盗まれたんですかい?」


「へぇ……昨夜も金庫から銀貨がすっかり。まるで、忍びの仕業って話で……」


旅館の女将がため息をつきながら語る。


「“月影団”って名乗る怪盗団でしてな。派手な予告状まで来たんですのよ……おほほ、こわいこわい」

 

その様子を見つめる三人の姿があった。


竜騎士姫ミッシェル。(わがまま B型)

雪国の剣士お雪。(頑固 A型)

くノ一楓かえで。(おおざっぱ O型)


※A型とB型の相性はよくありません。自由なB型にA型は振り回されて爆発する。O型はまぁいいかっと受け流す。(一般論)


ゼロ部隊の臨時任務。今回は「客を装って潜入調査」。


だが


「お雪さん、どうして湯上がりに牛乳じゃなくて、お茶を選ぶんですの!?」


「……ただの好みだ。くだらない」


「くだらなくありませんわよ! 湯上がり牛乳は日本人の誇りですわ! ソウルドリンクですのよ!!」


「私は雪国出身。冷たい牛乳、腹こわす。無理」


「弱いっ!! 体が弱いですわお雪さんっっ!!!」


バン! と湯上がりラウンジのテーブルをミッシェルが叩く。


その横でお雪が冷たい目で睨み返す。


「……うるさい。あと、牛乳こぼれた」


「おほほ……それは謝りますわ。でもこれは正義の衝突ですの!」


「ちがう。くだらない争い」


楓はうんざりした顔で2人の間にスッと割って入った。


「あーもうっ! 温泉入ってまでケンカすなーっ!!」


「ですが楓さん、聞いてくださいまし! 牛乳かお茶かという――」


「はいストーップ! どっちでもいいっ!!!」(ピシャアアア)


「……ぴしゃあ、って音なに?」


「私の心の音です」


一度ため息をついた楓は、ふっと顔を引き締めた。


「それより、見てこれ」


そう言って見せたのは、客室の天井裏の写真。


そこには、小型の滑車とロープ、そして使い捨ての足袋の跡。


「……忍び足、ですわね」


「いやだから、それ私たちの同業なんだけど」


「犯人は“月影団”……偽忍者の仕業か。許せない」


「まぁまぁ、正体はまだ不明だけど、あたしが一足先に潜入済み」



■■■


夜。


女将の部屋に現れた黒装束の影。


「今宵、貴女の金庫、いただきに参上いたしました。怪盗・月影団より」


美声の予告と共に、窓からひらりと舞い降りる影。


だがその後ろには、すでに三つの気配が迫っていた。


「きらびやかに登場とは、まさに悪の中の悪! わたくしの天罰で地に落としてさしあげますわ!」


ミッシェルが槍を構えながら突撃!


「動けば斬る」


お雪が横から滑り込むように斬りかかる。


「……やかましいけど、速い。連携だけは取れるのが不思議」


敵は驚き、ロープで逃走を図るが


「逃がしませんよ。色気も忍術も本物って、見せてあげる」


楓が布一枚でロープを断ち切り、天井裏から逆さに登場。


「な、なんだお前ら……連携が良すぎて怖い……!」


挿絵(By みてみん)


「ふふん! さぁ、どの決めゼリフにします? “成敗”? それとも“天罰”?」


「……くだらない論争、また始まる」


「ええい! では今回は間を取って“成罰“でいきますわっね!」


「……合体させるな」


「クセつよすぎだってばもう!!」楓の魂のツッコミが炸裂する。


◆ ◆ ◆ 


翌朝、温泉街には平和が戻っていた。


犯人は怪盗団に扮した元忍者集団。楓の過去の同門の者もいたが、改心して旅館の板前になったという。


牛乳を片手に、ミッシェルが嬉しそうに言う。


「やっぱり湯上がりはこれに限りますわ!」


「……私はお茶。変わらない」


「またそれですのぉぉぉぉっっ!!」


「ふたりとも〜、牛乳もお茶も、旅館を救ってくれたお礼で、おかわり自由だよ〜?」


楓ののんきな笑顔が、朝日と湯けむりの中に溶けていく


そして今日も、ゼロ部隊トリオのドタバタは続く!



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