表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【45万PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
お母さん狼女 ナターシャの食いしん坊 ドス恋(この味にド・ストライク 恋しました!
241/1101

おまけ04 潜入!美食国家マルクア王国

──王宮の料理 メモリー・シュプレームの謎を暴け!──


美食と芸術の都、マルクア王国。

世界中の舌の肥えた貴族たちが、人生最後の晩餐をここで迎えたがるほどの“味の王国”。


ナターシャの今回の任務は、その王国への極秘潜入だった。


「マルクアで、何かがおかしいのよ」

「料理で……人が操られてるという噂がある」


彼女は王国への使節団に料理人“ナタリィ”として偽装潜入。

母ではなく、スパイとしての顔を引き締め、銀の包丁を鞘に収めた。


ナターシャが潜入したのは、王宮内にある伝説の厨房


「レ・ソヴラン・キュイジーヌ(王たちの料理場)」。


大理石の床、宝石のような香辛料、火の精霊すら飼われているという贅沢さ。


しかし、その中に漂う香りに、ナターシャの嗅覚が反応した。


「……これは……ただのスープじゃない……」


王に供される“特別スープ”その名は《メモリー・シュプレーム(Mémoire Suprême)》。

黄金の器に注がれたそれは、一口で忘れられないほど美しく、恐ろしく、甘美な香りを放っていた。


(この味、思考を縛る)と噂されしスープ。

毒味役として選ばれたナターシャは、慎重にそのスープを一口啜った。


「……ぁ……」


五感が震えた。

旨味、甘味、微かな酸味、香草の爽やかさ、そして底に潜む……“ねばり”。


「……これ、香料に混ざってる……魔界産の記憶粘着香メモリウム

この味にドス恋!!(この味にドストライク!恋しました。)」


記憶と味覚を結びつけ、食べた者の“忠誠心”や“判断力”を操作する。

それが《メモリー・シュプレーム》の正体だった。違法薬物ギリギリ、ヤバすぎる。


◆香りで操る支配者◆

背後には、大臣エスカラ・ド・ブランシュの影があった。


「王に忠誠を誓わせる? 違うな。あれは、“味”に忠誠を誓ってるんだ」

「思考を奪い、心を縛る……食の支配だわ」


ナターシャは調味料倉庫を調査し、密かに“メモリウム”の瓶を発見。

その横には、香草に似せた乾燥粉末と、輸送記録の魔導石。


「これだけで証拠は十分……!」


エスカラ大臣が厨房に現れたとき、すでにナターシャの罠は張られていた。


「おまえの作るスープは絶品だったよ。だがもう、誰も飲まない」

「ふん、狼の女が何を知る。味覚は国を治める武器……!」


「違う。味覚は、人を幸せにする魔法よ。悪用すれば、ただの呪いになるわ──!」


ナターシャは鍋を逆さに叩き、“耳栓入り”大音量!鉄太鼓!!大臣へとぶつけた!!

(※意味不明だが強い)。

こうして、王宮料理に潜む陰謀は幕を閉じた。


数日後。玉座の間にて


王は深く頭を下げた。


「我が味覚を救ってくれた狼女よ。そなたには、王宮スイーツ詰め合わせと、特製ワイン、あとパンも……いっぱい差し上げよう」


「え、そんな……あっ、チョコ細工も……あっ……チーズ……有難うございます♡」


“味”で支配されかけた国を、

“味”で救った狼女スパイ・ナターシャ。


王の命を救い、陰謀を暴き、スイーツと土産をどっさり抱えて凱旋


だが帰還後、双子のフユが一言つぶやいた。


「お母さん、お腹が……まんまる……」


ナツがすかさずツッコミを入れる。


「これもう“お母さん狼”じゃなくて、“お母さんタヌキ”だよ!」


ナターシャは手に持ったバームクーヘンをぎゅっと握りしめて言った。


「……黙りなさい。これは“捜査で必要だった”肉よ!」


「お母さん、またそれ言ってる……」


「いいのよ、ママは!スパイも、お母さんも、食いしん坊も全部まとめてナターシャなんだから!」


その瞬間、腹がグゥウ~~~~~~~~~~~ッッ!


「……まだ入るのかよッ!」


ナツとフユの叫びが、満月の夜に響いた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ