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第四話 白馬の王子様って……彼なの? 夢なの?

黒曜石の宮殿ネクロキャッスル。魔王城、東の塔。


この塔から外へ出た者は、ベルモット以外にいない。

なぜならそこは、“眠り姫”が寝て過ごすための部屋だからである。


バクちゃん(枕兼夢を食う魔物)がぼやく。


「姫様、今日は正式にゼロ部隊の入隊日ですけど……」


ベルモットはゆっくりと、布団の中で寝返りを打つ。


「うん……白馬……あたたかい……」

(※実際は敷き布団)


さっちゃん(ベビーサタン)が鬼のように現れる。


「起きんかーーーーい!!」


バキィィン! というツッコミ音とともに、空中に浮かぶベルモットの体。


「うぅ……夢で王子様とピクニックしてたのに……」


寝ぼけたまま、ふらふらと立ち上がるベルモット。

その手をアルベルトが差し伸べる。


「さあ、行こう。君の新しい世界へ」


「えっ……あれ? 夢だっけ……これ……?」


【魔王城の門】


ついに


「外……眩しい!」


ベルモットはまぶしそうに目を細め、初めての“空の広さ”を見上げた。


「風……気持ちいい……こんなの、知らなかった……!」


木々の音、小鳥の声、地面のかすかな振動。


「世界って……動いてるんだ……!」


涙ぐむベルモットを見て、さっちゃんが言う。


「感動してるフリして、立ったまま寝るなよ」


「ふわぁ~……ごめんなさ~い……Zzz……」


やっぱり寝た。


【ゼロ部隊本部】


楓がくノ一ポーズで待ち構え、

ナカムラ(諜報部)は奥からファイルを持ってきて冷静に言う。


「新隊員、眠り姫・ベルモット。

 戦闘能力:不明。稼働時間:1日2時間。

 特技:寝る、妄想、夢の中で王子とピクニック。」


さっちゃんが書類にぐしゃっとツッコむ。


「なにこの人材!? 正式に入隊ってなに考えてるの!?」


アルベルトがニコリと微笑む。


「眠ってても、きっと彼女は……夢の中で世界を救うんだよ」


「寝言でいいこと言うなーーー!」


ベルモットはふかふかのクッションで丸くなりながら、笑ったように寝息を立てる。


こうして、

眠り姫・ベルモットは正式にゼロ部隊の一員となった。


挿絵(By みてみん)


ゼロ部隊の眠り部隊に所属されたベルモット・ネクロデスと相方のバクちゃん。

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