第三話 猫耳バトル!隠し通路で大乱戦
「まさか……地下にこんなでっかい迷路が隠されていたなんて……」
勇者アルベルトは狭いトンネルを前かがみで進みながら呻いた。
くノ一楓はさっさと前を跳び跳ねて進んでいる。
「ふふっ、忍者はこういうところが得意なのよ♪ …それにしても猫族のくせに意外と頭使ってるわね」
「オレ、せまいとこ、悪魔のしっぽつぶれる〜」
さっちゃんは天井に頭をゴツン。
そこへ――!!
「勇者アルベルトぉぉぉ!簡単に捕まると思ったら大間違いよぉぉぉ!」
ズルイの甲高い声が地下迷路に響き渡った!
突如、前後左右の壁が動き、ズルイ・太目・アイーンの三姉妹がスライド式に現れる!
「喫茶キャッツアイーン秘奥義ッッ!」
\\ トライアングルアタック!!! //
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃッ!!!」
三方向から襲いかかる猫耳、猫パンチ、猫蹴り、そしてプリンぶつけ攻撃!
「きゃーっ!?プリンやめてー!服がベタベタになるぅ〜〜〜っ!!」
楓が叫ぶ。
「これが……猫族の総力戦か……!!」
アルベルトは、目の前にぶら下がる太目のボディにたじろぐ。
「もうだめだぁ〜」
さっちゃんは床で丸くなってる。
絶体絶命か――!
と思われたその時、
「ふっ……猫には、これが効くのよねぇ……」
楓がポーチから小瓶を取り出した。
ラベルには手書きでこうあった。
【超熟成マタタビEX(猫用)】
シュッ!!と楓が空中にばら撒くと――
三姉妹が一斉にピタリと止まる。
ズルイ「えっ……なにこれ……すっごくいい匂い……」
太目「や、やだ……すごい落ち着くにゃ……」
アイーン「ふにゃぁ……(ごろごろごろ)」
\\ごろん//
\\すりすり//
\\ごろごろ//
一瞬で三姉妹は戦意喪失、床に寝転がって完全リラックスモードに突入した。
「ふふっ……忍びの心得、その三十七。敵の性癖を利用せよ。」
楓がウインクを決める。
「……おまえ、ズルいな。」
アルベルトはあきれつつ、奥の台座に鎮座する女体像に近づいた。
「よし、確保だ!」
「やったー!これでゼロ部隊入り確定ですねっ!」
「ねぇ……ついでにあのプリンも持って帰らない?」
楓が指差す厨房には、未開封の“特製カラメル増量プリン”が並んでいる。
「お前は食い気ばっかりだな」
こうして無事、女体像は取り戻された。
キャッツアイーン三姉妹は、しばらくマタタビの余韻にひたって動けず――。
「にゃああ……もう仕事したくない……」
「プリン屋やめて、猫カフェにしようよぉ……」
「ふにゃ……ゼロ部隊こわい……」
諜報部ナカムラへと窃盗の犯罪者として引き渡される猫盗賊団 キャッツアイーン三姉妹であった。