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第一話 人間なんて大嫌いだ!!

夜の教会、雨音と赤子の鳴き声


雨がしとしとと降りしきる。

古びた教会の扉の前、毛布にくるまれた赤子が泣いている。

その耳は尖り、まるで狼のようにピクリと動いた。


扉が開き、白いローブの女性が小さな影に手を伸ばす。

優しく赤子を抱き上げ、震える小さな体を胸にあてた。


「……神よ、この子も、あなたが創られた命なのですね」


彼女の表情には戸惑いと哀しみ、そして決意があった。

こうして、狼の血を引く少女ナターシャは人間の世界で育てられることになる。


だが、シスターが亡くなった日から、その世界は地獄へと変貌した。


数年後 ― 町の裏路地

空は曇天。煙とゴミの匂いが漂う裏路地に、獣耳を持つ少女が走っていた。

足元には泥が跳ね、背後からは怒号と足音。


「見たか!? あいつ、耳が動いたぞ!」

「高く売れるぞ、逃がすな!」


男たちがネットと棒を手に追いかける。

少女は素早く壁を駆け上がり、屋根へと飛び乗った。


「もう…もう、イヤだ……っ!」


挿絵(By みてみん)


目に涙を浮かべながら、少女は森のほうへと走り去った。

風に乗って、切り裂くような叫びが木々に響いた。



そして現在ジャングルの深奥地

ジャングルを進む一行。


勇者アルベルト

ベビーサタン・さっちゃん

ゼロ部隊 諜報部・ナカムラ


「狼少女か……会えるかなぁ」

と勇者アルベルト


「今回はマジでヤバいぞ。密猟者に追われまくってるらしいし。しかも、人間不信レベルMAXだってさ」

とさっちゃん


「でも、今まで通りやればきっと――」


「ナメてかかると喰いちぎられるぞ、あたま」


「(草陰からぬるっと)…諜報部ナカムラ、現地潜入に成功しました。追跡開始します」


 ブンッ――巨大な羽音と共に、怪物じみたGゴキブリが飛び出してきた。

 叫びながら魔法の火球を放つ赤い悪魔。


「ヒャハハ!燃えろや燃えろォ!」


 続いて、巨大なアナコンダが木の上から降ってくる。

 勇者アルベルトは前で木の枝に飛び移り、デーモンソードで鱗を斬る。


「悪いな、俺、生きて帰りたいんだよ」


ナカムラは一言も発せず、毒針のような飛び道具でワニの目を正確に撃ち抜いた。


「想定通りございます。前進いたしましょう。」


 鬱蒼とした森の中、光が差し込む一本の巨木のもとに、ひとつの影。

 膝を抱え、背中を丸め、静かに佇む少女。


 風に揺れる髪。ピクリ、と動いた耳。

 青年が一歩踏み出すと、少女が素早く立ち上がった。


「…………人間?」


 目が鋭く光る。指先の爪が伸び、息遣いが荒い。


「君が……ナターシャ?」


アルベルトが声をかける。


「来ないで」


睨むような瞳。身体を斜めに構え、今にも飛びかかりそうな獣の構え。


「ここは……私の縄張り。これ以上来たら、噛み殺す」


 鋭い叫びと同時に、少女は風のように森の中へ飛び去っていった。


「ま、待ってくれ!」


 追おうとするアルベルトの肩に、さっちゃんが止める。


「やめとけ。あの子……人間に裏切られて、生き延びてきたんだ。 “やさしさ”が一番怖いんだよ、ああいう子には」


「教会の前に捨てられ、牙を剥かれ、追われてきた。 ナターシャは、いまでも誰にも心を許していない。 でもな“勇者”ってのは、そういう奴を変えるために現れるんだろ?」



勇者アルベルトは、試練であるが燃えた。夢のハーレム生活まではまだまだ道のりは険しい。


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