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第四話 決別と誓い、雪解けの朝

火の矢で燃えるバクザンの武家屋敷の広間

勇者アルベルトとゼロ部隊の忍者・ナカムラが、次々に迫る武士たちを斬り倒していく。


「数だけは多いな……!ナカムラ、背中は任せる!」


「任されました。では私は三人を二秒で処理しましょう」


刃が舞い、火花が飛ぶ。

一方、広間の中央には、お雪と悪代官バクザンが向かい合っていた。


「親の仇だと?くだらん。お前の父は、不正をもみ消すための男だ。私に逆らっただけの小役人にすぎん」


バクザンは静かに構える。その剣は北辰一刀流。

武家社会でも名高い、剣の王道を極めし流派。


「たとえ父が間違っていたとしても私には、信じたい背中があった!その誇りに、今こそ報いる!」


お雪が叫び、抜刀。白銀の流星のごとく駆け出した。


しかし


「遅い」


バクザンの剣が一閃。彼女の刃を軽くはじくと、剣気が風となり吹雪のように襲う。


「ぐっ……!」


お雪は後退する。斬られた肩口から血がにじむ。

その剣筋は、重く、鋭く、まさに剣の魔王。流星剣すら封じられた。


「やはりお前では力不足だったな」


「違う……まだ、終わっていない!」


バクザンの斬撃が彼女の脇腹をかすめる。

だが、その一瞬―雪の目に、燃える屋敷の奥で落ちた「小さな銀の光」が映った。


父の形見、小刀。


その刃は、かつて父が「何かあれば使いなさい」と言い残した、たった一つの遺品だった。


「父上……力を貸して!」


お雪は転がるように地を這い、小刀を握った。

バクザンが笑みを浮かべる。


「そんな飾りで何ができる」


「飾りじゃない!これは形見、父の想いだ!」


小刀の短い刃が、バクザンの右手甲を真っすぐ切り裂いた!


「ぐあああっ!!」


その瞬間、彼女の剣が輝いた。


「流星剣――五連斬!!」


一閃、また一閃。

光が弧を描き、雪を切り裂くように連続で斬撃が繰り出される。


一、二、三、四――


そして、五!


バクザンの剣が弾き飛ばされ、血潮の中で膝をつく。


「お前……ごときが……!」


「これが――私の、復讐だああああっ!!」


最後の一閃が、バクザンの胸元を貫いた。


その場に崩れ落ちる悪代官バクザン。

雪の中、静寂が訪れた。


アルベルトとナカムラが彼女の元に駆け寄る。


「お雪、大丈夫か!?」


「……ええ。終わったわ」


彼女は肩で息をしながらも、顔を上げて笑った。


「もう、今後私は復讐に生きるのはやめる。私は未来のために剣を振るいたい」


アルベルトが手を差し出す。


「じゃあ……俺と一緒に来い。“新しい世界”を創る仲間として」


お雪はその手を握り返した。


「お主ののスカウト、正式に受けさせて頂きたい。」


武家屋敷の炎が消える頃、夜が明けはじめる。


復讐の幕は閉じた。

そして今、新たなゼロの部隊の夜明けが訪れようとしていた。


挿絵(By みてみん)


親の復讐を果たしゼロ部隊のスカウトをうける、お雪

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