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【ランキング12位達成】 累計53万7千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
第一章 旅立ち

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第19話 マジックキャンセル

魔人ゴーレムがマーリンの黒魔術アビスゲートによって亜空間へと呑まれていった。

その瞬間、空気が変わった。


リスク、勇者アルベルト、そしてシスターマリアの体にじんわりとした温もりが広がる。


レベルが2も上がる。


勇者アルベルトの体にじんわりとした温もりが広がる。


《勇者アルベルトのレベルが上がった!》

《体力が15上がった!》

《力が12上がった!》

《防御が15上がった!》

《素早さが12上がった!》

《賢さが8上がった!》

《運が5上がった!》

《新しい魔法「ファイヤード」を覚えた!》


「おっおそらく名前から炎系の魔法だな。燃えるぜ!」

勇者アルベルトが燃え滾る。


シスターマリアの体にじんわりとした温もりが広がる。


《シスターマリアのレベルが上がった!》

《体力が8上がった!》

《魔力が6上がった!》

《素早さが4上がった!》

《賢さが8上がった!》

《新しい魔法「ディーペート」を覚えた!》


俺の体にじんわりとした温もりが広がる。


《リスクのレベルが上がった!》

《運が20上がった!》

《賢さが15上がった!》

《新しいスキル「かます」を覚えた!》


「リスクさん、運が20も上がりましたよ。新しいスキル『かます』は、相手を騙したりビビらせたりする、商人向けのトリック系スキルみたいです」


シスターマリアの説明に、俺はガッツポーズを取った。

「おお、やったぜ!ラッキーボーイの俺は、次の港町で宝くじ買っちゃおうかな。かますぜ!」

でも戦闘には全く役にたちませーーん。


だが、その盛り上がりとは裏腹に、パーティーに戻ってきた黒魔術師マーリンは腕を組んで無言だった。

彼女の体に、あの“じんわりした温もり”は訪れていなかった。


「……レベル、上がってない?」


マーリンは目を細め、こちらを見た。何かを計算するような冷たい目だった。


「なんでマーリンだけ……?」


気になって仕方がない俺は、思い切ってシスターマリアに頼んだ。


「なあシスターマリア、ちょっとだけでいいから、マーリンのステータス見てみてくれない? なんかヤバそうな気がするんだ」


シスターマリアは少し戸惑ったが、神聖な杖を握りしめ、神に祈るように呟いた。


「聖なる光がマーリンを記すステータス!」


杖の先から聖なる光が放たれ、マーリンの体を包む。

だが──


「邪悪なる光が魔法を消し去るマジックキャンセル」


マーリンが低く、冷たい声で詠唱すると同時に、光が弾け飛び、シスターマリアの魔法がかき消された。


「っ! なにするんだマーリン!」


俺が怒鳴ると、マーリンはゆっくりと振り返り、嫌悪を込めた目で俺を見た。


「……最低ね。勝手に女性のステータスを覗こうなんて、どこまで下劣なのよ。気持ち悪いわ、リスク」


ズシリとくる一言だった。まるで心臓を拳で殴られたような衝撃だ。


「ち、違う!別にそういう意味じゃ──!」


「言い訳無用よ。除き魔変態野郎!」


「ちょ、ちょっと待てよ! 俺は仲間として心配して──」


「勝手に心配しないでくれる? あんたの“仲間”って、ただの都合のいい道具のこと?」


マーリンの言葉に、場の空気が凍りついた。


「リスク、ちょっと今のは軽率だったぞ」


アルベルトが厳しい声で俺をたしなめた。


「パーティーなんだから、お互い信頼し合わないといけない。いくら気になっても、無断でステータスを調べようとするのはやりすぎだ」


「……すまん」


肩を落とす俺の心には、針のような後悔が突き刺さっていた。

だが同時に、マーリンのレベルが上がらなかったという事実が頭から離れない。


(あいつ……やっぱり、最初から高レベルなんじゃ……。下手したら、レベル50以上……?)


そのとき、シスターマリアが空気を変えるように声を上げた。


「リスクさん、さっきの私が覚えた新魔法『ディーペート』の効果がわかりました!」


「おお! どんな効果なんだ?」


「敵と味方の“素早さ”を10秒間だけ下げる効果のようです!」


「えっ……味方も? でもそれって使い方によっては、敵の行動を封じられるってことか……」


「はい! 例えば敵が高速で攻撃してくるような場面では、とても有効だと思います!」


「じゃあ、今度の戦闘で俺にもかけてみてくれ! どんな感じになるか体験したい!」


「わかりました!」


俺はようやくシスターマリアの魔法に希望を見出し、少しだけ未来が開けた気がした。俺の考えが正しければ『ディーペート』で、俺のゼロの能力者のスキル能力が解放されるはずだ。



だが、その背中越し

黒魔術師マーリンの視線は、冷たく、深い深海の漆黒の闇のようだった。



挿絵(By みてみん)


―――――――――

名前:マーリン(黒魔術師)

レベル:65

体力:5800

攻撃:444

防御:888

素早さ:999

魔力:1700

賢さ:620

運:145

この世界で魔王軍で人魚族の占術師として悪魔王ガイアスの右腕。高レベルの黒魔術を使いこなす。

別名: 魅惑の黒魔術師 マーリン 年齢は300歳

―――――――――

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