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【127万PV突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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1836/1899

第9話 かつての仲間、今は敵

老魔族、因縁の夜へ


風が止まり、街灯だけがぽつりと灯る夜の裏路地。

その中心に、黒いコートの影がアイゼンを待っていた。


影「久しいな……アイゼンハワード」


姿を現したのは、かつて戦争を共に戦った戦友——

“黒刃のバルト”。

今は悪党ギルドの幹部として名を馳せる。


少年

「え、知り合い!?超コワい人なんだけど!」


シャルロット

「顔より剣の方が鋭いわね……」


死神はいつの間にか屋根の上。

「こりゃあ面白くなってきた……イヒヒヒ」



アイゼン

「バルト、お前がこんなチンピラみたいな格好するとはな。

 戦争のときはもっと怖かったぞ?」


バルト

「歳を取ると変わるのは貴様だろう。

 昔の英雄が、今じゃフラフラ旅する老魔族とはな」


アイゼン

「おいおい、フラフラは余計だ。

 ワシは死に場所を探す冒険家だぞ?渋く言え」


少年

「意味ほぼ同じじゃ……」


バルトが一歩、歩を進めるたびに、

路地裏の空気が張り詰めていく。


バルト

「アイゼン……俺と一戦、願おうか。

 生き残った者が“本物のヒーロー”だ」


アイゼン

「かかってこい。

 最後に勝つのは——意外と老人だって知ってるか?」



バルトが仕掛けた地雷型トラップが、地面で青い光を放つ。


少年

「わっ、アイゼン危ない!!」


しかしアイゼンは落ち着いていた。

杖を軽く、地面に“コン”と突く。


すると地雷がポーンと跳ね、

逆方向に飛んでいく。


アイゼン

「お前の地雷、昔から点火が甘いんだ。

 戦場でもよく誤作動してたな?」


バルト

「……っ!覚えていやがったか!」


シャルロット

「ねえこれもうケンカじゃなくて夫婦喧嘩よね?」


死神

「どっちが旦那役だ?イヒヒヒ」


バルトは闇魔法《黒縛》を放つ。

巨大な黒鎖がアイゼンの腕を絡め取ろうと迫る。


アイゼン

「残念。老いぼれを捕まえるには足りん」


杖をひねるように回すと、

鎖はまるで糸切れ人形のように地面に落ちた。


バルト

「……俺の魔法を、なぜ?」


アイゼン

「お前は昔から“左肩が弱点”。

 魔力の流れが歪むんだ。ワシら戦場で散々見たろう」


バルト

「まだ…覚えているのか……」


アイゼン

「忘れるわけないだろう。

 一緒に地獄を駆けた戦友だ」


アイゼンは不意に、手の平から飴玉を差し出した。


アイゼン

「ほれ、昔好きだったろ?“黒糖ガム”。

 緊張すると欲しがってたじゃないか」


バルト

「…………っ」

(図星)


シャルロット

「えっ何これ、急に可愛い!」


少年

「悪党なのにガムで揺らぐのかよ!!」


死神

「バルトの精神年齢、たぶん12歳前後だな…イヒヒヒ」


バルト

「くそっ…!お前のそういう所が嫌いなんだよアイゼン!!

 敵を前にして笑わせるなッ!!」


アイゼン

「悪いが、それがワシの戦い方だ」


剣と杖が交錯する。

火花が散り、魔力と殺気が夜に溶ける。


バルト

「何でだ……!

 何でまだ戦える!?

 俺たち魔族は老いれば力が弱まるはずだッ!」


アイゼン

「ワシはな……

 “死に場所を探して”まだ歩いてるんだ。

 その分だけ、ちょっとしぶといだけさ」


バルトの剣が止まる。

昔と同じ表情だった。


バルト

「……お前ってやつは……

 本当に、変わらないな……」


沈黙。

夜風だけが二人の間を通り抜ける。


死神、屋根から拍手。


死神

「いやぁ〜いいねぇこの人間臭いドラマ!

 もっと争え!もっと揺れろ!イヒヒヒヒ!」


シャルロット

「アンタは黙ってて!!」



バルトは剣を鞘に収める。


バルト

「今日はここまでだ……アイゼン。

 だが次は本気で行く。 俺はもう引き返せん」


アイゼン

「分かってる。

 だが次に会うときまでには……

 少しくらい大人になっておけ」


バルト

「……考えておく」


バルトの影は路地裏に溶けて消えた。


少年

「敵なのに嫌いになれない人だね」


アイゼン

「戦場を一緒に駆けた仲間はな……そう簡単には憎めん」


死神

「さて次はどんな死闘が見られるかな。イヒヒヒヒ……」


シャルロット

「死闘じゃなくて冒険よ!冒険!!」


月明かりが、老魔族の背中を静かに照らすのだった。


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