表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/1097

第十一話 魔竜の黒炎の裁き

屍の神殿の天蓋を突き破り、魔竜ディアヴォルトは咆哮をあげながら宙を舞った。

黒焔が風を裂き、大地を焼き、空気すら重く圧し潰す。


挿絵(By みてみん)


「我が主よ! その力、我に示せ……! 世界に恐怖を! 絶望を!」

闇の司祭カザールはその巨体の足元に立ち、崇拝の声を上げる。


だが――


魔竜は一瞥すらせず、ただ空を仰いでいた。


「……ッ!? 聞こえぬか、我が声が!」


無視され、カザールの顔が歪む。


「私は貴様を復活させた者だぞッ!!」


だが次の瞬間、魔竜ディアヴォルトの金色の眼が、わずかに下を向いた。


ゴゴゴゴゴ……


「なっ……まさか――」


魔竜の爪が地を掴み、巨大な黒き脚がカザールの頭上に迫る。


「や、やめろ……我が力で復活した貴様が……グォァアアアアア――!!!」


ズン――!!


屍の神殿の床に、大量の血のしぶきが散った。

闇の司祭カザールは、魔竜に“踏み潰された”。


かつての支配者は、目覚めた絶対的な“破壊”の前に、あまりにも無力だった。


「……あれが……伝説の魔竜か……」


アル隊長は呆然と呟いた。


魔竜が天空に向かって咆哮する。


「──グォオオオオォォオオオオ!!!!」


その口が開かれ、空間が捩れた。


闇魔法の最大の必殺魔法 奈落終焉陣メギドゼロフィナーレ


世界の存在そのものを“終わらせる”究極の魔法。

天空の色が反転し、空が黒く、雲が紫に染まりはじめる。


「なに、あれ……ッ!?」「で、でも、止めないと……ッ!!」


そのとき――


「フラちゃん、いけるか!?」


「──できたよ!」


挿絵(By みてみん)


看護師フラちゃんは、手に一本の注射器を握っていた。


「魔竜の心臓……一時的に止める“毒薬弾”。やっと完成したんだ!」


「さっちゃん、発射の用意お願い!」


魔導飛行艇の艦内、さっちゃんが魔導炉に両手を乗せる。


「限界超えてやるよ……!」


魔導炉のコアが脈動をはじめる。


「リミッター解除! 魔力制限をすべてカット――」


「魔導出力、限界突破──『Ωドライブ』発動!!」


船体が蒼白く輝き、咆哮する魔竜の轟音すらかき消すほどの震動が神殿を包む!


「フラちゃん、撃てぇぇぇぇぇッ!!」


「注射爆弾 発射ァッ!!イイヨ~!」


ドシュッッ!!


青白い閃光が魔竜の胸元を貫いた――


ビリィィイイイイイイ――!!!


魔竜の体が痙攣する。


巨大な心臓の脈動が、一瞬だけ止まった――!


魔法陣が乱れ、奈落終焉陣メギドゼロフィナーレが中断される。


「今がチャンスだよ!! エリック、カンナ!!」


「おうっ!!」

「全力で叩き込む!!」


戦士と姫が、叫びながら瓦礫の山から跳び上がる。

手斧とグラン=ツァンハンマーが、一筋の希望の光となって、魔竜に向かって一直線に走って向っていた!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ